かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!
このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。
なかまゲスト
かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワーク 運営委員
あったかキッチン水元 事務局長 岡村明さん
かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークの概要
マスター:かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークの概要を教えてください。
今からちょうど3年前の4月1日に、それぞれに子ども食堂を運営している仲間と立ち上げました。子ども食堂を増やしたい、場所や財政のことなど相談に乗って、一人でも多くの関心のある方に子ども食堂や子どもの居場所を始めて頂きたいと思って、活動しています。
マスター:区内で何か所くらいあるのですか?
立ち上げ当時は11か所で、20か所位を目標にしていて、今は17か所あります。全国でも増えていると聞いています。
店長:全国には3,000か所以上あるんですよね。子ども食堂とは、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがない、子どもたちの今ある生活の最低限をちゃんと見守ってあげよう。まちづくりを目指し、個人や団体が無料または低料金で食事を提供している活動。そこから子ども食堂というのが出発したということですね。
子ども達は自分で親や家庭を選べないですからね。様々な家庭の事情もありますし。近所のおせっかいおじちゃんやおばちゃんが何とかしてあげようという思いで、皆さん始められたと聞いています。
マスター:エリアは葛飾区全体ということでしょうか。
葛飾区内には小学校49、中学校24箇所ありまして、一つの小学校の区域で一つを目指そうと。目標としては、70箇所ぐらいの子どもの居場所を作ろうということです。
かつしか子ども食堂・居場所づくりネットワークの活動内容
マスター:先ほど理念をお聞きしましたが、活動内容についても教えてください。
個々に子ども食堂や学習支援、子どもの居場所作りを始めていますが、ネットワークとしてみんなで情報交換していこうということと、これから立ち上げたいという方に対しては「始め方講座」を開催しています。また、ネットワークに提供して頂いた寄付金やフードドライブというご家庭で余分になった食材をそれぞれの子ども食堂に分配するなどもしています。
その方が広く集められますので。
店長:子ども食堂を開設する条件や規則、決まりというのはありますか。
子ども達を何とかしてあげたいという気持ちがあれば、特に資格も決まりもありません。どこでやるのか、資金はどうするのか、ボランティアのスタッフはどうしたらいいかなど、まずは同じ意識を持ったメンバーでスタートするのがいいと思います。
店長:審査とかはないのでしょうか。
相談していく中で、ネットワークのメンバーでしっかり見て行きます。
あったかキッチン水元について
マスター:岡村さんの子ども食堂では、どのくらいの方が来られているのですか。
コロナ以前でいうと、私達の場合は月に1回、公共施設を借りて食事を提供しています。始めた頃は「貧困家庭のための子ども食堂」という報道のされ方だったので、学校にチラシを持って行っても近所の子が数名来てくれる感じでしたが、今では100名ぐらいの子どもが毎回楽しみに来てくれるまでになりました。5年が経過して学校の先生達の意識も変わっています。今は貧困家庭の子どもというより、みんなで楽しく食べようという感じですね。
春休みごはんプロジェクトとは
マスター:実施中の「春休みごはんプロジェクト」について教えてください。
昨年、一斉休校になった際に始めました。学校の給食で栄養を摂っている子もたくさんいたので、学校に行かなくなると栄養も取れない。そういう子達のためにお弁当を届けようと。昨年はご家庭までお届けに行ったのですが、今は無料チケットを配って、協力してくれた12店舗に取りに行くとお弁当がもらえるようになっています。
子ども食堂は命の居場所
店長:かなちゃんは(グループホームを運営しているので)対象者がご高齢の方ですが、思いやりとか寄り添いというのは共通するところがあると思います。
高齢者の方と子ども達、あと、小さい子どもを育てているお母さん達。お勤めされている方など食事の世話は本当に大変だと思うので、月に一回でもここに来て、子ども達は横でご飯を食べて、お母さん達同士でおしゃべりするとか、息抜きをする場になってきています。
店長:シングルファザーやマザーが多くなってきていますしね。パンフレットにも、「家でご飯が足りない、ご飯がなかった、ご両親が忙しい、みんなと一緒がいい、一人で寂しい」と書いてある。大げさかもしれないけど、子どもの命を守る場所でもあるような気がします。
マスター:リアルに命を守るというのもあるし、気持ちとか情緒とかも含めて育んで行く場所でもあるし、あとコミュニティの大切さはなんかも自然に子どものうちに感じる場所でもありますよね。
高齢者の居場所としての子ども食堂
マスター:高齢者とのマッチングの部分を教えてください。いい繋がりはできますか。
「あったかキッチン水元」は、5年前に立ち上げてこれまでやってきましたが、当初から、高齢者の方のためのお弁当作りをしている高齢者団体さんと一緒にスタートしています。調理を担当してもらって、それが終われば子ども達と雑談をしたり遊んだりしています。また、私は民生委員・児童委員を10年近くやっていますので、校長先生との懇談の中で不登校の子や家庭が困っている子、給食費が払えない子などのお話を聞くことがあります。一方で、高齢者の見守り活動もしていますので、お一人暮らしの高齢者の方もたくさんいらっしゃるので、何人かの方に声をかけてボランティアに入って頂いています。教員だった方には勉強を見てもらったり、紙芝居をしている方にはやってもらったりと、繋がりが出来てきていて、もっと広げていきたいと思いますね。
マスター:高齢の方も高齢でなくても、時間ができた方やボランティア活動をしたいという方に協力してもらえると、自分自身も勉強できるし、コミュニティ作りにも協力できますね。
フードドライブとは
マスター:フードドライブやフードバンクのシステムなどについて、詳しく教えてください。
コープみらいさんとかJAさんから食材が提供されることがあります。葛飾区でも食品ロスが相当あるので、食品ロス削減のためにも、各企業から「フードドライブ」という仕組みで食材を1か所に集め、それを保管して、必要とされるご家庭に配布していきます。
マスター:運営は大変ですよね。食品が日々出るところもあるだろうし、タイミングによって出るときもあるし。保管場所も冷蔵庫も必要ですしね。
冷蔵庫はありますが、大きな倉庫はないので、分配して預かってもらって、早めに受け取りに行きます。それぞれの子ども食堂で分配することを「フードパントリー」と言います。
店長:食材銀行みたいな感じで、そこから引き落とすみたいな感じですね。これって食品ロスの削減にもなるので一石二鳥ですよね。
子ども食堂の運営
マスター:安く買ってきて作って出すものもあるし、ご協力いただいた食品が来る時もある。そこを上手く使い分けしながら、子どもたちに提供しているということですね。
寄付金のほか、葛飾区などから助成金というものもありますので、初めて運営される方には申請の仕方も説明して、一緒に書類を書くところまでお世話させて頂いております。
店長:何かしたいけど何をしたらいいか分からないという方にとっては、ある一つの情報かもしれませんね。
ちょっと自分の家にスペースあるよとか、保管して頂くということでも、もう参加しているということになりますからね。
まずはボランティア、見学から
マスター:どこかの子ども食堂にボランティアで参加して、実際にどういうことをやっているか体験して、それで自分の場所でどのようにやるかを考える。
私のところにも、数名の方にボランティアに来て頂いています。
マスター:実際にお手伝いをしてみると、何が必要で何をしたらいいかも分かる。それを自分に置き換えて、こういう事ならできるかなと、そこからスタートが一番いいですね。
すべてやろうとするとハードルが高くなってしまうので、自分ができる範囲のこと、例えば料理を作るのが得意とか、食後の子どもの話し相手になれそうとか、そういう形でご参加頂いている方もたくさんいらっしゃいます。
目標や夢について
マスター:あらためて、目標を教えてください。
決して焦らず、本当に子どもや高齢者のことを考えて、少しずつ進めてやれたらいいなと思っています。「高齢者と子ども達を繋ぐ場所」だけでなく、「健常者と障害者の居場所」にもしたい。葛飾区には外国人の方もかなりいらっしゃいますので、そういった子どもさん達やお母さん達の触れ合う場所ももっともっと作って広めていきたい。悩みを抱えてどこに相談していいかわからない、お友達も少ないという方の居場所になれればと思っています。
店長:岡村さん個人の夢はありますか?
地域を回っていて、お一人暮らしの方も、老老介護などで家族の負担の多い方もたくさんいました。そういう方の相談相手になって行きたいですね。自助、共助、公助、近所ですよね。
店長:近所、いいですね!
まとめ
マスター:人生にある程度ゆとりが出てきた方々は、閉じこもらないで、ちょっと一声かけて、町会でも子ども食堂でもまだまだいっぱいコミュニティに繋がるきっかけはあります。
ぜひ、そういう誘いとか一歩踏み出す勇気を持って、出て頂きたいですね。すごく大切です。
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