ゲスト: 葛飾区社会福祉協議会 成年後見センターの加藤さん テーマ:成年後見人制度について かつしかFM「なかまで介護」第10回(2019年1月10日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまで相談室

葛飾区高齢者総合相談センターお花茶屋 社会福祉士 藤間佑太さん

【管轄エリアについて】

マスター:お花茶屋の担当エリアはどのあたりになりますか?

お花茶屋や東堀切、西亀有、白鳥ですね。自転車だと20分圏内のところでしょうか。

【事例紹介①電気代の督促の相談から認知症を発見】

マスター:お花茶屋にはどんな相談がありますか?

最近あったケースでは、一人暮らしの男性の方から電話があって、「電気代の督促状が届いたけどどうしたらいいか?」というご相談でした。訪問して、よくよく調べてみると、直近の先月は払っていたけど、先々月の分が払われていなくて電気が止まってしまうかも知れないというお話でした。それで一緒に支払いを済ませて安心されたんですが、お話を聞くと、最近もの忘れが気になるということでしたので、近くの「もの忘れ外来」にご案内して診療してみたところ、軽度の認知症でした。早期発見できて良かったというケースがありました。

【事例紹介②家にこもりがち】

マスター:他の事例もありますか?

65歳を超えて定年になると、自宅にいる時間が長くなって筋力の低下も起こすし、出不精になってしまって、気力も体力も心配になってきたという方が多くいらっしゃいます。

マスター:今まで毎日務めに出ていたのが行かなくなると、ガラッと環境が変わるからね。

サークルとか高齢者クラブとか結構な数があって、「男性による男性のための介護講座」など男性がメインで活動されているところもあります。男性が地域に出てきて頂けると地域が活性化しますので、それで特にご案内することもしています。

 店長:女性は割と社交的で出ていくけど、男性ってちょっとしたプライドが足かせになっている。同じような方たちがたくさん来れば、それを取っ払えますね。

マスター:男性の方はぜひ電話して聞いてみましょう。

 店長:今は65歳っていったら、見た目もそうだし、みんなお若いじゃないですか。だから、ためらうんじゃないかと思うんだけど。いいんですよね?

そうですね。女性も高齢になってくると、施設に入られたり入院されたり、ご近所付き合いなどコミュニティの関係性が薄れてくることもあります。

マスター:地元のサークルなど、年齢がいっていると探し方が分からないんだよね。

運動したいとか手芸の方がいいとか、その方のご趣味に合わせていくつかご案内します。

店長:高齢者総合相談センターは認知症や病気を患った時にだけ相談できる場所だと思っている方が多い。藤間さんたちには申し訳ないけど何でもやります的なところですよね?

ご自宅を訪問することもできます。お金をいただくことも一切ありません。

【事例紹介③漠然とした不安】

マスター:他にも身近な事例があれば教えてください。

高齢になると、医療とか介護とか今後出てくる行政的な手続きや金銭管理とか、いま現状悩んでいないけどちょっと不安という段階でもご相談いただければ、ある程度の情報をご紹介できますので、それを知るだけでも安心できると思います。

マスター:総合相談センターさん含め相談できる場所でちゃんと聞けば安心できるけど、その一歩を踏み出していないので、ずっと不安を抱えちゃう。まずは電話をかけてくださいね。

なかまゲスト

葛飾区社会福祉協議会 成年後見センターの加藤さん

成年後見人制度について、 認知症などの病気が原因で、 財産相続などの判断が困難な方に、 第3者(弁護士や司法書士、税理士など)を 介入させ、生前に取り決めを行う制度です。 家族間でも金銭の事はトラブルになりがちです。 専門家の方を入れて解決していく事が良いと思います。
また、後見同意を交わしたうえで、高額な詐欺や事件 にも注文取り消しやクーリングオフをしてくれます。 当事者を守るという意味でもメリットがあるようです。

葛飾区社会福祉協議会の役割と概要

マスター:早速ですが、社会福祉協議会とはどういう活動をされているところでしょうか。

社会福祉協議会は通称「社協」と呼ばれています。区民の皆さんが主体になって、地域の中で「共に支え合う」「共に助け合う」、住みよい福祉のまちづくりの実現」を目指して、支援が必要な方々に対し、様々な活動や事業を推進している会員制の社会福祉団体になります。

例えば、65歳以上の在宅の一人暮らしの高齢者の方に乳酸菌飲料を毎日配達して安否確認や孤独感の解消を図る「ひとりぐらし高齢者毎日訪問事業」、高齢者や障害者の方が日常生活に困った時の家事援助などを区民の参加と協力のもとに実施する有料の「しあわせサービス」を行っています。その他、ボランティア活動に対する相談支援や今日お話しさせて頂く成年後見制度などの相談を行っている成年後見センターも社協のひとつの事業です。高齢の方から障害者の方、あと、お子さんの支援も行っています。

成年後見制度について

マスター:それでは、成年後見制度の概略や大枠について教えてください。

認知症や知的障害、精神的な障害などによって判断能力が不十分だと、不動産や預貯金など財産の管理や介護などの福祉のサービス、施設に入所する際の契約、相続などが生じた場合に遺産分割協議というものを行うことが難しい場合が多く、不利益な結果を招いてしまう恐れがあります。そこで、家庭裁判所が選んだ代理人の方(後見人)が、本人のためにお金の管理や契約をするのが「成年後見制度」というものになります。

マスター:裁判所が間に入ってコントロールしてくれるということなんですね。

家庭裁判所の方で手続きが必要になりますが、そこで後見人を選んで頂いて、その方が本人のために活動しているかどうかのチェックも家庭裁判所で行います。

マスター:弁護士や司法書士が後見制度をやっていると聞きますが、そういう方々がやられる場合でも家庭裁判所が途中で入る形になるのでしょうか。

成年後見制度は大きく分けると2つあります。一つは「法定後見」、もう一つが「任意後見」という制度になります。どちらも最終的には“判断能力が不十分になった時”というものですが、手続きができる“段階”が違っています。「法定後見」は既に判断能力の不十分さが生じている段階で、「任意後見」は判断能力がしっかりされている状況の時に「この方にこれをお願いしたい」ということを前もって契約で結んでおいて、万が一判断能力が低下した場合にその効力が有効になるように、家庭裁判所に手続きを行うものになります。

店長:誤解されがちですが、この制度は認知症であるとか自分で判断ができなくなった人を守るためのものでもあるということですよね。

【質問:本人が認めない時には?】

店長:例えば、余命幾ばくとない父親の不動産を母親の名義に変えたいけど、その母親が認知症だと判断されていて、後見人が必要だと説得しても怒りだす場合などには、どのような手順を踏んで後見人制度の中に入っていけばいいのでしょうか。

実際に判断能力が劣っている場合には、ご本人が特にいらないよと言っても家庭裁判所に手続きを進めていくということも必要だと思います。(その場合、)医師の診断なども必要になってきますし、場合によっては家庭裁判所が本人に会って状況確認するなどして後見人の必要性を判断していく形になります。

【事例紹介①認知症の母親の銀行口座からの引き出し】

マスター:身近なケースを教えていただけますか。

例えば、認知症の母親の支払いのために、お母さんの預金口座からお金を引き出そうとしたけど引き出すことができなかったというようなことですね。ご本人である母親が認知症で判断能力が欠けている場合には、本人確認ができないということで親族であっても預金の払い戻しができないとか、ご本人が仮に銀行に行っても払い戻しに応じてもらえないということになります。

マスター:振込詐欺とかもあるから金融機関が厳しくやっているけど、逆にいうと我々を守ろうとしているし非常に難しい部分だけど、現実にはそうなっちゃうってことですね。

このような場合に、成年後見制度の「法定後見」で家庭裁判所に手続きを行い、後見人が選ばれれば、後見人が銀行から払い戻して医療費として支払いができるようになります。

 【事例紹介②認知症の父親の不動産の売却】

マスター:他の事例も何かありますか。

認知症のお父様の不動産を売却してお父様の施設の費用にあてたいということもあると思います。認知症等で判断能力が低下してしまうと不動産の売買契約が結べなくなってしまうことがあり、親族であっても勝手に売却することはできないので、後見人制度を利用して家庭裁判所から選ばれた後見人が代理で不動産を売却することになります。その場合でも、「必要性」や「処分する金額」が妥当かどうかを判断して家庭裁判所が許可をしています。

【事例紹介③詐欺被害】

マスター:詐欺とかの事例もありますか?

例えば、認知症の親御さんのところに家族が久しぶりに帰省したときに、食べきれない量の健康食品や使うことのない羽毛布団などが部屋いっぱいに積まれていたというケースもあります。こういう場合でも、成年後見制度を利用することで、重要な契約をする際に、「同意権」という権限を与えてもらうことによって後見人の同意が必要になるので、後見人のことわりなく万が一ご本人が単独で契約をしてしまった場合や高額な商品を購入してしまった場合でも、後見人がついていればその契約を取り消すこともできます。

後見人には誰がなるの?

マスター:後見人になって頂く方には弁護士や司法書士もいるけど、身内な方がなる場合に後見人自身が問題を起こす話なんかも新聞で読んだりします。

信頼のもとに成り立っている制度ですが、後見人がお金を横領してしまう事件も起きています。平成29年の統計では、親族が後見人に選ばれているのが約26%、弁護士や司法処理など第三者を選ばれているのが残り約74%になります。

マスター:親族や身内関係がもっと多いイメージでした。これは年々、親族身内関係の方の比率が下がってきていて、第三者の後見人が増えている感じでしょうか。

制度ができた当初は、圧倒的に親族の方が多かったのですが、年々その割合は減ってきて、平成24年に全体の約48%と、親族の後見人が5割を切りました。

マスター:その要因についてはどう思われますか。

ひとつが家族関係の希薄化というのがあると思います。そもそもお子さんが少ないということもあるかも知れません。後見人は裁判所が選ぶことになりますが、財産の金額が大きいと、親族ではなくて第三者を後見人に選ぶ傾向が出てきていると思います。

マスター:僕の場合も、父親が作ってくれた財産で兄弟同士揉めるのが嫌なので、第三者の方に後見人になって頂いて、あとで揉めない形にしたいと思いました。裁判所はすべて認めるのではなく総合的に判断して、コントロールしてくれるんですね。

後見人も親族の中で希望を出すことができます。ただ、その方が適任かどうかは、裁判所が判断して、親族でいいという場合と親族ではなく第三者の方を選ぶケースもあります。

マスター:わからない場合には、直接、社協さんに問い合わせするか、まずは、高齢者総合相談センターに問い合わせるのでいいですね。

 

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