かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!
なかまゲスト
公益社団法人東京都柔道整復師会 葛飾支部 支部長 有馬宏昌 さん
葛飾区柔道整復師会の概要
マスター:柔道整復師会葛飾支部について教えていただけますか。
なかなか知られていないのですが、厚生労働省から公益認定を得た公益社団法人日本柔道整復師会の下部団体となります。
店長:厚生労働省からの認定を受けている下部団体ということでもすごいことですね。
マスター:葛飾区の中にはどれくらいありますか。
葛飾区の防災活動を考えて7エリアに分けています。水元地域に3院、金町・新宿地域に1院、亀有・青戸地域に8院、柴又・高砂地域に6院、お花茶屋・堀切地域に7院、立石・四つ木地域に7院、奥戸・新小岩地域に6院、全部で38院あります。
マスター:団体の目的としてはどのようなものでしょうか。
日本の伝統医療である柔道整復学、及び、柔道整復術の進歩発展と柔道整復師の資質向上を図ることと、保険医療・介護に関する様々な制度の円滑な運営と健全な発展に寄与する事業を実施することを目的としています。
柔道整復師とは
マスター:柔道整復師というものを細かく教えていただけますか。
柔道と名がつくだけに柔道競技をイメージされる方も多いと思いますが、古くは柔道には「殺法」と「活法」というものがありまして、現在の柔道競技は「殺法」の流れでもうひとつ「活法」が存在しています。「活法」は怪我を治すことで、絞め技等で意識を失ったときの処置やその技として引き継がれたのが柔道整復術であることから、「柔道整復師」という名称になっています。
マスター:柔道って投げや絞め技で意識が落ちてしまうことがありますからね。関節技とかで腕を痛めてしまうとか色々ありますよね。それを戻したり直したり処置したりすることで、我々の知っている柔道と同じにそれを治す術の両方があるということですね。
私達のような公益社団の柔道整復師とそれ以外の個人契約の柔道整復師の2つがあります。
マスター:団体に所属している人と入っていない人がいるということですか。
そうですね。唯一国で認められているのが公益社団ということですが、会に所属していなくでも個人で開業できることがあります。
具体的な活動内容
マスター:活動内容を教えていただけますか。
我々の団体に所属している会員は日曜・祭日・年末年始に葛飾区の休日当番(休日応急接骨院)ということで開院させていただいて、応急処置等をさせていただいています。
店長:土日とかに予期せぬことが起こりますよね。
マスター:防災の活動もされているんですね。
防災時の活動は、葛飾区7エリアで避難所や救護所が各地域に一つありますので、なにか有事の際は医院の先生が行って、避難されている方や救護されている方たちを助けます。
店長:東日本大震災の時も問題になりましたが、エコノミー症候群のような血流が悪くなるということがあったので、初期の段階であれば処置をされたりするということですね。
そうですね。
マスター:医師会などと協力しあいながら活動されているということですね。
医師会の先生たちのもと指示を得て処置する形や、もっと大変な場合は先頭で行く状況もあると思います。
マスター:スポーツ大会のときなどの救援や応援などもされているのですか。
東京2020大会では、上部組織の日本柔道整復師会と共同で、有楽町にある日本メディアセンター内で救護所兼柔道整復術を体験していただくブースを設置しました。その際、小池都知事から伝統医療のすばらしさということでお礼状をいただいたり、東京マラソンや葛飾区ではランフェスタの救護活動に支部員が参加したり、と活動しました。
店長:西洋医学も大事ですが、古くから日本にある伝統的なものをうまく患者さんが組み合わせてお使いになるのもいいですよね。
マスター:うちは介護施設を運営していますが、介護関連での関わりはありますか。
以前は区から委託を受けて各地域の地区センターで介護予防事業を行っていましたが、現在は、立石・お花茶屋・柴又・高砂・金町・東堀切に接骨院とデイサービスを併設している会員の接骨院・整骨院に対応いただいている状況です。
機能訓練士の資格を有している先生で歩行器を使っての歩行、足上げ台での階段昇降の訓練、振動マシンやバイク、ゴムチューブなどを使った下肢筋力の強化、バランスボールやストレッチポールを使用して筋肉の柔軟性、スポンジボールを握ることで握力強化などを行い、最終的に月1回、握力や階段昇降、直線歩き、片足立ちなどの体力測定を行っています。
店長:スポーツインストラクターみたいなことも兼ねている感じですね。
マスター:柔道整復師さんという名前が付いているけど、ほかにも体全体の勉強をされて、資格を取得しているということですね。
そうですね。
接骨院と整骨院の違い
マスター:整骨院やマッサージ、整体院とかいろいろと名称がありますが、接骨院と整骨院の違いは何ですか。
昔から使われてきた名称は接骨院ですが、固い名称よりは整えるほうがいいかもしれないということで整骨院という名称も増えてきた状況で、接骨院と整骨院は同じですね。
怪我の治療や骨折、脱臼に対する整復を行い、柔道整復師という国家資格を持った人が開設できる施術所が接骨院・整骨院です。
柔道整復師の治療技術には1,200年以上の歴史があって、日本の伝統医療として受け継がれてきた日本固有の伝統医療、伝承治療の技術形態で、2001年にはWHOの報告書に柔道整復師「柔道セラフィ」として記載され、世界的に認知されるようになってきています。
店長:以前は「士」だったけど、医師と同じ「師」を使うということは国がどれだけ重要なポジションかということを認めたということですね。
そうですね。
マスター:2001年のWHO(世界保健機構)の報告書の中にも「柔道整復師」として書かれているんですね。
店長:昨日今日じゃないですよね。
運動機能の早期回復をはかるために、患者様一人ひとりに合わせた治療・リハビリを実践していますので、オーダーメイドの治療家として治療に当たっています。
マスター:接骨院と整骨院はどちらも基本的には同じ扱いであって、柔道整復師という国家資格を持たれた方が開設しているかどうか、ここがポイントですね。あとはそれ以外はどうなのかということですね。
店長:街で見かけるマッサージや歪んだ骨盤を整えますとか、それは接骨院とは付いていないですもんね。でもたまに接骨院だけど、こういう分野もやられることはあるんですね。
その分野の勉強もされているんだと思います。
マスター:ちゃんと柔道整復師の資格を持っている方でなければ、〇〇接骨院や●●整骨院という名称を付けてはいけないのですか。
そうですね。使ってはいけません。
マスター:それではちゃんと「院」とついているかをチェックするのが大事ですね。
鍼灸というのも国家資格だと思いますが、こちらはいかがでしょうか。
接骨院・整骨院というのは、柔道整復師という国家資格を有している方たちが開院している医療施設で、怪我に対して保険証を使って施術が受けられるところになります。
先程も話に出ていた整体とかマッサージ屋さんも本来であれば、あんま・マッサージ指圧師という資格は必要ですが、よく街で見かける何十分何千円と掲げているのは、国家試験ではなくて民間の資格でやっている可能性もあります。
保険の適用について
マスター:保険が適用されるかどうか気になるところですが、接骨院・整骨院に関しては柔道整復師という国家資格なので、基本的に治療ということで、保険を適用することが可能ということですよね。
お医者様からの同意を得る必要はありますが、鍼灸師さんも保険が適用になります。
マスター:通っているホームドクターなどから診断書をもっていくと保険が使えるということですね。接骨院や整骨院はどうですか。
怪我に対しては認められているので、何にも必要なく治療が可能です。
マスター:医者の診断書がなくても自分たちで判断して、保険適用の場合には保険適用して治療できるということですね。
骨折と脱臼に限っては医師の同意が必要ですので、その日のうちに応急処置はできるのですが、その後の治療に関しては医師の同意を得てからスタートになります。親しい先生たちもおりますので、そこで診断を受けてもらって治療はこちらに戻ってきて行う形になります。
マスター:医者と連携しながら、という感じですね。逆に民間資格のところはすぐに保険を使ってというのは難しいということですね。
店長:医療行為なので、接骨院や整骨院では保険が適用できるわけですよね。それ以外に、例えば1万5千円でマッサージとかになるとこれは別物ですよ。否定しているわけではなくて、それで気持ちよくなればそれはそれでいいと思います。
マスター:治療という場合には、ちゃんと国家資格を持たれている有馬先生のようなところに行けばいいわけですよね。
おうちでできるリハビリ・予防運動
マスター:おうちでできるリハビリの方法などはありますか。
簡易的になってはしまいますが、椅子に座った姿勢で踵を上げて、つま先立ちを繰り返してください。ふくらはぎは第二の心臓と言われていますので、血流の悪いところに対して収縮することで心臓に血液を戻してあげると言われています。次に、そのまま膝を伸ばしてあげると、太ももの前の筋肉が鍛えられます。何もないと膝が痛くなってしまうので、タオルなんかを膝の内側にはさんで締め付けるといいですね。
店長:私は放送中に、時々ですが膝を伸ばしています。
マスター:いつのまにトレーニングしているんだ。
あと、上肢の運動というか、タオルを持ったまま腕を左右に交互に伸ばすのもいいです。
店長:こういうことって、お金をかけなくてもおうちでできますね。
マスター:コロナの関係で外出を控えている方も多いと思うので、運動不足になるから予防しておかないと、この後、外に出たときに転倒が怖いよね。認知症が進みやすくなる可能性もあるということだし。これらも酸素を取り入れて体にいいわけですよね。
転倒予防に関して、実際は椅子から立ち上がれる段階だと転倒するリスクは少ないです。
最近では、転倒するという考え方からすると平衡感覚を司る三半規管が衰えているのではないかという話もあります。
鼻の先に当てた指からずっと手を伸ばして指を見ながら首を左右に振ってみてください。首だけ動いてしまって目が止まらないという方もいます。それだけでも三半規管を鍛えることができます。あとは上下や斜めをやっても三半規管を鍛えることができます。
マスター:日々の生活に取り入れてやってみるとリハビリになる。こういうことも有馬さんのところで教えていただけるわけですね。
こういうことも細かく指導させていただきます。
店長:呼吸法はどうですか。
いわゆる早い呼吸ではなくて、腹式呼吸といってお腹までゆっくり吸って吐いてあげるとリラックス効果があります。最終的に息を吐き切るときにお腹をへこますだけでなく、さらに腹筋の力を使って吐き切ってあげると、体幹のトレーニングにもなります。
今後の予定や目標
マスター:今後の目標や団体としてやろうとしていることはありますか。
私達は医師ではありませんが、怪我だけを治すのではなく人に寄り添った人間でありたいと思っています。学生時代も「怪我だけを見るな、人間を見よ」と教わっていますので、人を癒せる柔道整復師になれるように心がけています。
また、昔と比べて接骨院・整骨院という看板を多く見かけると思います。実際、増加傾向にありますが、経験不足という点で柔道整復師の質の低下が見られてくることもありますので、東京都柔道整復師会葛飾支部では資格取得後や開業にあたっての研修、学術研修会や保険講習会を常に行って、団体として資質の向上に努めています。
徒手整復や骨折、脱臼を処置する技術を有していますので、災害時など行政から物資が不足して手術ができないときでも、整復動作といって骨を元に戻すことが可能です。災害時にも自分たちの手が役立つのではないかと思っていますので、今後も地域に貢献できればと思っています。
マスター:経験が少ない人も含めて、時々集まってチェックし合うとか研修をする。これは介護の現場でも同じです。団体があって、皆で資質を向上させていくことは大切ですよね。
店長:以前は治療としての接骨院・整骨院はあったけれど、これだけ高齢者が増えてくるとフレイル予防の指導もしてくださるということもわかりましたね。
マスター:医療も介護も今は予防に力を入れていて、日々の中で筋力を鍛えたり有酸素で脳を活性化したりということですね。身近な相談できる場所ということですよね。
メッセージ
マスター:メッセージがありましたらお願いします。
これからも患者様や葛飾区のため、休日当番接骨院や防災活動、かつしかランフェスタなどの救護活動、そして何よりも皆さんが健康で過ごせるように、葛飾区医師会や保健所などと協力していき、柔道整復師の認知を高めていきたいと思います。怪我じゃなくても筋肉の衰えや痛みに対しても、どこの病院に行けば良いのかなど、ちょっとしたことでもお悩みのときは葛飾区柔道整復師会のホームページをご覧いただいて、ぜひ「足のマーク」がある接骨院・整骨院に気軽にご相談いただければと思いますので、よろしくお願いします。
マスター:足のマークが日本柔道整復師会に入っているマークということですね。
介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。