ゲスト:青木克徳 葛飾区長 かつしかFM「なかまで介護」第83回(2021年6月3日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

 

なかまゲスト

青木克徳 葛飾区長

葛飾区の基本構想

マスター:まずは令和3年度の葛飾区の基本構想について教えてください。

区の基本的な方向性をきちんと示すものとして基本構想ができていますが、今回は、2年かけて30年ぶりに改訂しました。みんなで一緒になって葛飾区を良くしていこうという方向性を将来像として、「みんなでつくる、水と緑と人情が輝く 暮らしやすいまち・葛飾」と決めさせて頂きました。

〇理念について

マスター:「人情」と入っているのがいいですね。

葛飾の特徴ということで、「人情」と新しく入れました。また、「広報かつしか」にも書かせて頂きましたが、基本構想の理念を少し直しました。

一つは、「多様性の尊重」。今は、女性や高齢者、外国の方や障害を持った方、いろいろな方が認められて自由に活動できるような状況を作っていくことが必要です。葛飾区も多様化していますから、それをみんなが認められる社会を作って行こう、そのために多様性を尊重しようということで大きな柱に加えました。

もう一つは、「協働によるまちづくり」です。区だけではなく、区民の皆さん企業の皆さん各種団体の皆さん、みんなで力を合わせて出来る範囲で区をよくして行こうとご協力頂いて、住みやすいまちを作ろうと。これを大きな柱にしています。

最後に、持続的な発展をしなければいけないということで、葛飾区ではSDGsについて、ここ5、6年ほど大変力を入れてきました。日本経済新聞の「持続可能な都市・地方ランキング」で、2年前は全国の自治体815の中で14位、東京の中では1位でした。今回の調査で全国3位になりました。この間、環境問題も一生懸命、区民の皆さんと一緒に行ってきましたし、子育てのこともとても評価頂いているように、福祉の関係やまちづくり、いろいろなことを「持続可能なまち」として進めていこうと、これを大きな柱に据えています。今回の構想ではそれも理念の一つに取り上げることにしました。

 マスター:世代的なことでは、我々の世代と若い子たちでは、働く価値観とかが変わってきていますが、そういう若い子たちの考え方も多様性として取り入れていくというのも含まれているのかなという意味ですごく素晴らしいなあと思っています。

世代を超えるというのはとっても大事なことで、高齢者には高齢者としての不満もありますし、若い人は若い人であるわけです。お互いにきちんと理解をしながら、手をたずさえて、いろんな活動ができるようにしていく。まずそのためには、理解する、多様性を認めるということが大事ですからね。そこのところができるようにやっていきたいと思います。

〇区民との協働

マスター:いろいろな方にお話を聞く中で、区の方から発注していただいて、自分たちが働いて区民に情報や仕事を提供するなど、生きがい含めて、かなり支えられているようです。

高齢者の方はいろいろな形で活動しています。例えば、シルバー人材センターには、区でもいろいろな仕事を発注していますが、発注している量は23区でも葛飾区は割合が高いです。

店長:建物の前を通ると、第1位と書いてありますね。

高齢になっても活動する場があるというのが非常に大事なことなので、そういったところにも発注していきたいですし、知恵を活かして活動して頂けるようにこれからもやっていきたいと思います。

コロナ対応(現状の医療体制、ワクチン接種状況など)

マスター:コロナの現状の医療体制やワクチンの接種について教えてください。

コロナについては、この1年で上がったり下がったりしていますが、第4波については、もう少し下がるようにしなきゃいけないということで、今、防災行政無線でも皆さんにお願いをしています。

一方で、ワクチンを早く打ちたいという声をたくさん聴いています。葛飾区では、かかりつけ医で打ってもらうことを第一に、約200の診療所・病院で接種を進めています。6月2日現在、65歳以上で1回目の接種が終わった方が26.06%です。必ずしも高いとは言えませんが、東京都の平均17.50%よりは高く、これをさらに進めていきたいと思っています。国では大手町で、企業でも打ち始めるという話もありますので、いろいろなところで打って頂きたいと思います。スマホを使って申し込む方が多いのですが、今週の初めも区役所の7階でお手伝いさせて頂いて、たくさんの方に申し込みして頂きました。これからさらに範囲を広げ、たくさんの方に打って頂けるように積極的にやっていきたいと思います。また、若い方が打つようになりますと、集団接種をさらに進めることが必要です。若い方も、順番が来たら打てるところで打って頂きたい。そうすることによって集団免疫ができますので、ぜひその取り組みを進めていきたいと思います。

もちろん、かかってしまった方の対応については、区内の病院や診療所でPCR検査その他が着実にできるようになってきていて、早く治療をして頂けるような体制をとっています。

マスター:以前はワクチンの打ち手が足りないという話が出ていましたが、今はそれぞれのクリニックや葛飾区医師会のご協力などもあって、段取りよく進んでいるのでしょうか。

徐々に徐々に進んできています。区内200の医療機関ですでにやっていて、今は1日20件とかに増えてきています。最初は内科の方が中心でしたが、整形外科やその他の医療の方にも打って頂けるようになっていますので、加速している状況にはなっています。

マスター:情報が伝わらないと心配になりますが、「広報かつしか」で細かく情報発信して頂いているので、パニックもなく落ち着いていられる大きな理由だと思っています。

店長:ワクチンに関しては臨時号で出していますよね。

それでもわからない方もいらっしゃるので、電話の問い合わせセンターや役所の窓口で聞いて頂くのもあります。我々もなるべく丁寧に説明して、待っている方にも順番を早く回せるように努力していきたいと思っています。

高齢者の健康づくりの推進

マスター:ここ一年ちょっと、家や施設の中にいることで筋力的にも随分落ちてきています。健康づくりの推進についてお話し頂けたらと思います。

葛飾区の高齢者65歳以上の方は11万人を超えています。とっても元気な方がいらっしゃる一方で、フレイルと言われるように足腰が弱ってきたという方、持病を抱えている方もいらっしゃいます。そういった幅広い方々がご自分に合った健康法をもって、人生をまっとうできるような状況を作っていかなければいけないと思っています。区では、多くの方に体の状況等を点検してもらうため、「長寿医療健康診査」を毎年やらせて頂いています。75歳以上の約5万5千人の区民の方に通知を出して7月から11月までやって頂くことになっています。皆さんとても関心があって、令和元年度の受診率が63.7%、約3万5千人の方に受けて頂きました。この受診率は23区で一番です。診察を受けて、それを踏まえていろいろな対応をするのが一番いいことですので、ぜひ今年も受けて頂きたいと思っています。

 葛飾区医師会・葛飾区歯科医師会との連携

マスター:医師会などと連携した活動について、教えて頂けますでしょうか。

コロナ対策でも連携していますが、日常的にやっている中では、認知症への対応として、平成27年度から「もの忘れ予防健診」をおこなっています。毎年約4万人の方にご案内を出して、一次健診を受ける方が1割、二次健診に進む方もそのうちの1/4か1/5くらいいらっしゃいます。受けることで安心して頂けるといいのかなと思っています。案内が来たら、ご本人が大丈夫だと思っていても、「ちょっとお医者さんに行ってみよう」とご家族の方が気付いてやるというのも大事だと思います。6月1日から10月31日まで受けられます。

 マスター:ちょうど心配している時にこういった案内が届くと、じゃあ行こうと思います。

年齢を重ねると認知症の方が増えるのは間違いありませんし、割合としても増えますので、認知症への対応をどうするかといった研修も盛んにおこなっています。フェスティバルなども開催して、認知症がどういうものかを知って頂く。もしご家族の中にそういう方が出てきたら、どういう対応をすればうまく暮らしていけるかということも大事なことです。

それから、認知症の方の保険も区で入れるようにしています。いざという時に第三者に対して大きな被害を与えることもありますので、そういう保険も掛けられるように、区のお金でいろいろな対策を進めていますので、ぜひ活用して頂きたいと思います。

また、歯に関しては、「長寿歯科健診」をおこなっています。段々と食べられなくなるのはフレイルの元ですから、食事はものすごく大事です。食事、運動、栄養を考えながら、ご家族もご本人もみんなが一緒になってやって頂けるといいと思います。

介護予防事業の充実

マスター:介護予防についても、認知症予防や認知症サポーター講習会、脳活など、いろいろな活動をされています。

よくPR させていただいているのは、「プラチナフィットネス」です。これは割と健康で動ける方向けで、区内の地域にあるフィットネスクラブに行っていただいて区が補助をします。そのほか、「脳力トレーニング」もありますし、「筋力向上トレーニング」はこれまで5万人を超える方にご利用頂きました。高齢の方はちょっと歩くだけでいいと昔は言われていましたが、最近では筋力をつけることが生活習慣病や糖尿病の予防にもなり、活発に活動するための体力をつけることが大事だとされています。

みんなで作るまち・葛飾区

店長:ものすごくいろいろなことに取り組もうとしているのが見受けられます。区長として、どのような区を目指しているのでしょうか。

区民が地元で暮らしていることで幸せになる、安心して暮らせる。これは凄く大事なことで、きちんと実現できるようにしていきたいと思っています。毎年、区民の皆さんからアンケートを取るのですが、やはりいちばんが「災害に強いまち」。これはハード面で堤防や道路を整備するとか建物を強靭にするとかもありますが、いざというときに避難する、防災訓練をするというのは、みんなが一緒にやらないとできないんですね。防災も防犯もみんなが力を合わせて一緒にやることによって意識も高まりますし、「みんなが作るまち」ということを進めていくと、「みんなが安心して暮らせるまち」に繋がると思います。

マスター:毎月、葛飾区内の町会長さんをお呼びしていろいろお話を伺っていますが、いかに町会が区と連携しながら災害や防犯に取り組んでいるかが、わかります。

地域の力はとても大きいです。個人としては参加しづらくても、地域の活動に参加しながらみんなでやっていく。防災訓練や避難訓練は一人じゃできませんからね。

マスター:(避難して)体育館に集まった時などに顔見知りの方だと安心します。知らないと誰に聞いていいのかもわからない。日頃の付き合いが大切ですよね。

普段顔合わせを1回しているだけでも、ちょっと安心して行動できるんですね。災害対策では、やはり準備はものすごく大切です。

店長:まずは「自助」、その次に「協働(共助)」で、最後に「公助」。まずはご自身で整えてみて、何が足りないのか、じゃあそれは区に聞いてみようという、そういう品格レベルを葛飾区で上げていきたいと思います。

行政として責任を持ってしっかりやる、これは当然のことですが、防災対策も高齢化対策も、行政がやることと一緒に皆さんも意見を出して、じゃあこうやっていこうああやっていこうとなれば、更にレベルアップします。行政の責任はとても大きいですが、それだけではできないこともたくさんありますので、みんなで力を合わせてやっていきたいと思います。

 介護福祉サービスの充実(人材確保・定着支援)

マスター:介護関連については、助成や奨励金など、とても手厚くやって頂いています。

介護を受けやすい状況を作るには「人」が大事です。人材を確保して、そして、そういう人たちがレベルアップする、キャリアアップする。そのための支援をいろいろな形で進めています。そのことによって介護現場も働き易くなりますし、介護を受ける方にとっても良い環境になるということで、これからもぜひやっていきたいと思います。

区民の皆さんへメッセージ

今はコロナで厳しい状況がずっと続いていますが、もう少し、マスクをする、三密を避けるなど、ご努力頂きたいと思います。その上で、我々もワクチン接種を積極的に進めていくように頑張りますので、よろしくお願いします。もちろんその先には高齢化対策や防災対策を進めて、住みやすいまちを作っていきたいと思いますので、みんなで一緒に頑張りましょう。

 

介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。

かつしかFM「なかまで介護」

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