ゲスト:葛飾区歯科医師会 増田常務理事 かつしかFM「なかまで介護」第84回(2021年6月17日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

 

なかまゲスト

葛飾区歯科医師会 増田常務理事(増田歯科医院 院長)

葛飾区歯科医師会の概要

マスター:歯科医師会の概要について教えてください。

現在、会員数は212 名で、診療所は179箇所になります。主な役割としては、区と関連するいろいろな健診事業、寝たきり高齢者の方の「たんぽぽ歯科診療所」や障害児・者の「ひまわり歯科診療所」の運営、災害時などに応急の歯科診療を行う歯科医療救護所の開設なども、行政とタイアップしておこなっています。

活動内容のご紹介①各種健診

マスター:活動内容について具体的に教えてください。

まずは「妊婦歯科健診」です。妊娠された方を対象に、母子手帳を取得時に受診券が一緒に入ってきます。実施医療機関リストにある歯科医師会会員の歯科診療所に電話して予約して頂ければできることとなっています。お子さんが生まれた後には「すくすく歯育て歯科健診」があります。これは2歳になったお子さんとお母さんを同時に健診するという形になっていて、2歳を過ぎた後から3歳になるまでの間はむし歯が急に増えると言われています。

店長:(出産後に)歯が弱くなるということを私も経験しました。

実際、健診にいらした時に、お母さまに「最後に歯医者さんに行ったのはいつでしたか」と聞くと、「出産前」とかそう言うお答えが多いので、それを機にしっかり健診して頂いて、お母様の方もきちんと直して頂くということです。この健診の特徴として、お子さんにはフッ化物(フッ素)を塗布、お母さんには歯のクリーニングを一緒に行います。

マスター:その後の健診もあるんですよね。

40歳から70歳まで5歳刻みで「成人歯科健診」があります。ちょうど6月から始まって、対象の方には受診券が届いていると思います。9月いっぱいやっていますので、ぜひお使いください。

マスター:70歳より上ではどうなるのでしょうか。

「長寿歯科健診」がございます。当初は75歳を対象にしていましたが、80歳もやろうということで、今年度は76歳になる方と81歳になる方を対象に10月と11月に予定されています。むし歯や歯周病、入れ歯のチェックだけでなく、飲み込みなどに関係する口唇や舌の筋力に関連する簡単なお口の機能測定も行います。

活動内容のご紹介②寝たきり高齢者の方の診療所の運営

マスター:体の具合とか年齢的なことで行けないとか行きづらいという時に、何かそういうシステムも出来上がっているのでしょうか。

先ほどお話ししました「たんぽぽ歯科診療所」で診療を受けることもできるのですが、ご家庭や施設の方にお伺いして治療をする訪問診療も行っています。それから、自力で動けないような方を、介護タクシーでお迎えに行って、診療所で診療をして、またご自宅までお届けしてというのもやっています。

マスター:この場合の介護タクシー代はかからないのでしょうか。

区の方から介護タクシーを業者さんに委託していますので、送迎については無料です。

マスター:どなたでも利用できるということではないですよね。

基本的には65歳以上の高齢者で区内在住の方ですね。それから、寝たきりなど在宅で治療されていて通常の歯科医院に通院できない方が対象です。ただ、状態によっては年齢の若い方でも受けられる場合もございますので、ご相談頂ければと思います。

コロナ禍の状況と対策

マスター:コロナとの関連や現状について教えてください。

1年前のちょうど5月、6月あたりは緊急事態宣言の最初の時期で、患者さんがだいぶ減ったり、我々の方も診療の数を制限したりしていました。設備なども皆さんいろいろ整えていらしたと思います。最近はかなり元に戻ってきたように思いますが、それでも、ずっと口腔ケアを続けていた方が来なくなくなってそのままとか、急にいらっしゃった方は「我慢していたけどどうしても駄目、痛くなってきました」とか、かなり悪くなってから来られる方が見受けられるようになってきました。

 コロナ対策の追加12項目「みんなで安心マーク」

マスター:たくさんあるチェックリストに則ってやられていらっしゃると聞きました。

日本歯科医師会では、標準とは別に、コロナに関連した追加の対策として12項目を挙げていて、歯科医師会の会員の先生方はほとんど「みんなで安心マーク」を取得されていると思いますので、安心して治療に通って頂きたいと思います。

マスター:そういうマークが貼られているのでしょうか。

そうですね。日本歯科医師会のキャラクター(奥歯に顔が描いてあるイメージ)「よ坊さん」が描かれていて、(マスクをして診察服を着た)水色の絵が書いてあるマークになります。

 ワクチン接種について

マスター:ニュースなどで、歯科医師会もワクチン接種に協力するという話がありますが。

東京都歯科医師会や日本歯科医師会には、都知事から新型コロナウイルスワクチン接種の協力要請等が実際にきています。医師会、歯科医師会、看護協会、薬剤師会それぞれの関係団体がまとまったチームを作って準備をしている段階です。今のところ葛飾区から具体的な話はありませんが、そうなった時にすぐに対応できるよう、誰が協力してくれるのか、協力するための研修等もありますので、そういう準備をしている状況です。

 口腔ケアの重要性&新しい検査

マスター:口腔ケアは本当に大切です。食べ物を美味しく食べるというのもそうですけど、フレイルの話が出ていて体の健康にも結びつくということですが。

「健康」と「要介護」の「間」の状態が「フレイル」ということで、よく「オーラルフレイル」とも言われています。例えば、食べるのが遅くなったり、むせるようになったり、硬いものが噛みづらくなったり、そういうちょっとしたお口の中の問題が続けば、口腔機能の低下あるいは障害につながっていきます。そういうところを見つけて口腔ケアで機能を維持していくことが、体全体についてもとても大事だということです。

 マスター:年齢が行くと誤嚥性肺炎を起こすことが多くなりますが、嚥下を検査する進んだ検査方法ができていると聞きました。

誤嚥はなかなか目では見えません。むせることも出来なくなっている方もいらっしゃいますので、異物が入ってもそれを吐き出す力がない。誤嚥性肺炎になる可能性が非常に高くなりますので、しっかり検査をすることが必要です。嚥下内視鏡というのがありますが、これは鼻からファイバーを入れて、喉の奥から食道や気管の入り口をみて、食べ物を食べて飲み込んだ時に、それがちゃんと食道にいっているか、あるいは気管の方にいっていないか、目で見て検査をします。食べた物がちゃんと咀嚼されているかもチェックできます。

口腔ケアの種類と予防

マスター:予防方法を知りたいので、口腔ケアについてさらにわかり易くご説明頂けますか。

お口を綺麗にしましょうと、歯磨きあるいは粘膜の掃除をするのは「器質的な口腔ケア」というふうに言われています。あと場合によっては保湿等をしてあげる。お口の中の菌を減らしてあげるのは誤嚥性肺炎の予防に直結するのですが、ただ綺麗にしていればいいということではなく、食べたり飲んだりもしなくてはなりません。そういう部分の機能を維持しなければということで、「機能的なケア」もあります。例えば、唾液腺マッサージとか舌の動きを訓練するなど幾つかあります。

舌の役割

マスター:舌の役割についても教えてください。

味を舌で感じているというのはよく知っていると思いますが、食べ物が入ってくると、食べ物をペロとほっぺたの筋肉の両方で奥歯の上に乗せるようにちゃんと動いているんですね。通常はその協調がうまくいっているので噛まない。ただ、噛んだだけではダメで、喉に送り込んで飲み込まなくちゃいけません。飲み込むためにはベロを使って奥へ送り込むわけで、食べたり飲んだりする時にはかなり重要な役割をしています。

唾液の役割とマッサージ

マスター:唾液もそうですよね。

唾液は口の中の洗浄や保湿の役に立っているほか、消化作用、アミラーゼとかだけでなく、歯を酸から溶けるのを守る緩衝作用があります。また、味は、味の元になる物質が溶けて味蕾に届かないと認識されませんので、口の中が渇いて唾液が少ないと味を感じづらくなってしまいます。それから咀嚼とか嚥下ですが、水分がないと細かいものが細いままでバラバラになってしまいますので、まとめて飲み込める形にするためには、やはり唾液が必要です。

マスター:唾液腺マッサージの仕方を教えていただけますか。

両手の手のひらで親指以外の4本の指をほっぺたにあてて、あごの下をずっと辿っていくと、ちょうど角の耳の前あたりの耳下腺をゆっくりと時計回りに円を描くように、それから反時計回り。上あごの奥歯の脇の部分に耳下腺から唾液が出てくる場所があって、そこから唾液が出てきます。食事の前、1日3回くらいやって頂ければよろしいかなと思います。

今後の予定や伝えたいこと

マスター:今後の予定やお伝えしたいことがあればお願いします。

先程からお話がありましたけど、かかりつけ歯科医というのを持って頂きたいと思います。ひまわり歯科診療所やたんぽぽ歯科診療所に限らず、歯科医の紹介に関しては「かかりつけ歯科医相談窓口」というのがございます。ちょうど今、各施設や行政の窓口にポスターを貼らせていただいており、そちらには持ち帰りできるカードも準備していますので、遠慮なくご相談頂きたいと思います。たんぽぽ歯科診療所内にあって、連絡先は03-3690-5209、受付時間は月曜から金曜の午前10時~12時と午後1時~4時になります。

 

介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。

かつしかFM「なかまで介護」

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