ゲスト:葛飾リハビリテーション病院 永島院長・槁本事務長 かつしかFM「なかまで介護」第72回(2020年12月17日放送分)

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「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまゲスト:葛飾リハビリテーション病院 永島院長・槁本事務長

病院の概要①ロケーションと診療科

マスター:まずは、事務長の橋本さんの方から病院の概要について教えてください。

亀有駅から徒歩で約12分ほどの場所にありまして、亀有から青戸へ行くバス通り亀有新道沿いのコープから一つ入った道にあります。目の前の桜並木がきれいなところです。診療科としては、内科、整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科があって一般外来もおこなっています。内科には総合医もおりますし、整形外科は院長が診療しています。もちろん、インフルエンザなどの予防接種や健診もやっています。

病院の概要②目的と理念

マスター:永島院長先生の方から、理念や目的を教えていただけますか。

平成28年6月に葛飾区初の回復期リハビリテーション病院として開設しました。どうしてリハビリテーション専門病院を作ったかと申しますと、高齢化社会に向けて、手術など急性期の治療を終えられた方が早期にリハビリできる施設というのが、ニーズとして多くなってきたということです。それまで葛飾区にはリハビリテーションの専門病院がなく、今後の葛飾区におけるリハビリを牽引していきたいということで開設しました。大きな使命としては、やはり「早期に社会復帰して頂く」ということです。

病院の概要③入院条件など

マスター:病院の大きさでいうと、個室19室と大部屋4名の16部屋、全部で83床ということですね。こちらの病院に入る条件などはありますか。

リハビリを必要とされる患者さんということで、基本的に脳血管障害(脳梗塞とか脳の出血)の方、それで麻痺を起こしてしまった方とか、あるいは骨折してしまった方とかですね。

 救急(急性期)病院からの受け入れ

マスター:急性期病院で治療を受けて、こちらの病院に移られるというイメージでしょうか。

急性期の病院と私どもの病院との間では、ワーカーを通じて「急性期の治療が終わったので、こういう疾患の人のリハビリを早期にやりたいけど受け入れはどうか」というようなオファーが来ます。主治医とリハビリスタッフ、看護師とのチーム医療をおこないますので、そういうオファーが来るたびにどういう風に受け入れていくか相談して、「いつ頃なら入れますよ」と先方の病院に返します。そうやって患者さんを受け入れています。

 費用について

マスター:気になるのが費用です。橋本さん、費用について教えていただけますか。

年齢や保険の割合などで変わってきますが、1割負担の方で10万円から13万円が1か月 の治療(入院)費用ですね。あとはリネンのレンタルとか生活用品とかが別途かかります。個室を希望される方はその分の実費がかかります。

マスター:うちのグループホームにいても食費などを含めて月に14万円近くになるので、同じかちょっとお安いくらいですね。高額医療費控除という制度もありますから、費用がオーバーした場合でも免除される可能性があります。

みなさんの入っている各保険組合さんとか、各病院の相談員に相談していただければそういうご説明も頂けると思います。

回復期のリハビリテーション

マスター:あらためて、院長に回復期の段階でどのようなことをされるのかお聞きします。

急性期後の回復リハビリということで、基本的には、「早期に来て頂いた方が早期に機能を回復できる」ということです。介入が遅れてしまうと回復への道のりは逆に長くなってしまいます。昔は1か月以内に入ってくださいという制限があったのですが、なかなか1か月では落ち着かなくて、延びてしまうケースもありました。

マスター:厚労省が全国のデータを取って、そういう結果が出ているということですね。

疾患によっても違うのですが、骨折の場合ですと60日、脳血管障害の場合などでは150日、それに高次機能障害が加わると180日といちおう決められています。そういうことを考えますと、手術後の2か月ないし3か月というのは機能が回復していく上で非常に大切な時期になります。極端な話ですが、手術をしてそのまま何もしないで2か月、3か月後に病院に来られたとしても、これはかなり回復が遅れますよね。そういう意味では1か月前後で来て頂くのが良いと思います。

店長:外科的な処置もすごく重要なんですが、それでちょっと様子をみてみましょうなんてことで寝たきりに移行していってしまうかもしれませんね。

2週間寝たきりになってしまうと、やはり回復がかなり遅れます。その間にベッド上での訓練も出来ますし、急性期の病院がリハビリを一切やらないというわけではないですが、積極的なリハビリというのはなかなか術後には出来ませんから、私たちはもう落ち着いたということを前提にして、かなり積極的なリハビリをやるように心がけています。

専門スタッフの充実

マスター:専門のセラピストさんなど体制が出来ているようですね。詳しく教えてください。

今は専門スタッフが72名います。理学療法士43名、作業療法士21名、言語聴覚士8名という構成になっていますが、主任や副主任クラスには認定療法士とか認定コース修了者も多数在籍していますので、専門性を生かしたリハビリテーションを実施できます。階層や教育体制などもしっかりしているのではないかと思います。

マスター:教育体制についても詳しく教えていただけますか。

リーダーのもと、新人職員や2年目の職員、途中から入ってきた職員についてグループ毎に教育支援をおこなっています。そのほか、外部の教職員が若い職員の臨床教育にあたったり、病院実習という形で実際に学校から受け入れたり。そういうものをおこなうことによって、教育がもっと充実してくると考えています。

グループでは新人職員を対象にした勉強会もやっていて、例えば病棟ごとに月2回ほど、自分が受け持った症例に対して他のグループの人たちはどう思うかという症例検討会などもおこなっています。

マスター:専門の方がたくさんいるからこそ、ゆとりを持って、教育の時間も取りながら、高い次元のものを目指していけるということですね。

「チームとしての医療」が大事だと思っています。リハビリのスタッフだけじゃなくて、主治医が入って来て方向性を示すことや看護師側からの意見というのもある。そういう形で、フリートーキングみたいな場面も作っています。

具体的な事例①大腿骨の骨折

マスター:患者さんの疾患やアプローチについて、具体的な事例を教えていただけますか。

「脳血管障害」の方が大体5割~6割、「運動疾患(骨折など)」が3~4割、それ以外は、治療後どうしても動けなくてリハビリができなくてベッド上での生活が長くなってしまう、いわゆる「廃用」ですね。そういう方たちが1割くらい、いらっしゃいます。

ひとつめの事例は大腿骨の骨折の方です。この方の場合には、骨盤から遠く膝に近いところ(遠位部)の骨折だったのですが、膝の関節に近いところの骨折には難しいケースがあります。いわゆる可動域を確保しなければなりません。そうしますとやはり遠位部の骨折の場合には、ある程度、骨が癒合するまでは積極的なリハビリができなくなってしまう。膝を動かしていないと組織同士がくっついて硬くなってしまって曲がらなくなるし、伸びなくなってしまうというケースがあります。この方は1か月半くらいでお見えになった方で、その時にはすでに3分の1くらい体重がかけられてはいたのですが、40度くらいしか曲らない。90度以上は曲がらないと自転車には乗れないので、早期に関節の可動域を獲得するためのリハビリを積極的におこなって、最終的には100度以上曲がるようになり、自転車にも乗れて、歩行器、杖歩行での退院が可能になりました。期間的にはおそらく30日~40日くらいだったと思います。早期に来て頂ければトータル60日くらいで退院は可能になります。

具体的な事例②脳梗塞

マスター:脳の疾患の方の事例もありますか?

この方は、脳梗塞で右半身の麻痺と言葉がしゃべれない。左脳の方に言語中枢がありますから、右半身の上下肢麻痺ということになりますと、必然的に発音の障害や摂食嚥下の障害なども出てきます。麻痺を伴い、なおかつ発音ができなくて、上肢の手作業もできない、嚥下の力も弱い方となると、理学療法士だけでなくて、作業療法士、それから言葉をしゃべったり発音したり、嚥下の訓練をやるための言語聴覚士。この3者がチームを作ってケアに当たります。脳疾患障害の方の場合ではリハビリをおこなう範囲が広いため、60日で退院というわけにいかなくなるケースもあります。

退院後のサポートとしての訪問リハビリ

マスター:退院された後のサポートもされていると聞きました。

「回復期リハビリ」といっても、「退院するまではこちらでやって後は知りません」というわけにはいきません。お近くであれば外来でリハビリ(プログラム)を早期に立ち上げることも可能ですし、外来に来ることが難しい患者さんはどうしたらいいかということで、今後は「訪問リハビリ」の方にも力を入れていきたいと考えています。

マスター:来年度に向けてということでしょうか。

構想は前からあったのですが、今はコロナ禍で立ち上げるのはリスクが大きいと考えていて、もう少し落ちついてから進めていきたいと思っています。

マスター:こういう専門の病院が葛飾にあるということ、皆さんにぜひ知って欲しいですね

 

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