かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!
このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。
なかまで相談室
葛飾区高齢者総合相談センター新小岩 村山さん
事例紹介①目が不自由な一人暮らしの男性
マスター:早速ですが、最近の事例を教えていただけますでしょうか。
以前、薬局の方から相談があった方のその後をお伝えしたいと思います。
目が不自由な一人暮らしの何のサービスもご利用されていない男性で、困っていることがないか訪問して確認すると、電気が点かなくて、一年間ずっと電気のない生活をされていました。電気を復旧させて、今後このようなことがないよう現在も定期的に訪問、安否確認を行っている状況です。介護保険の申請をお勧めしましたが、自分でできることは自分でやりたいという強いお気持ちがありました。昨年の年末年始、お宅に行ってインターホンを押すとちゃんと鳴るので電気が通じていると安心しました。私のことも覚えていてくださって、せっかく来てくれたので元気な顔を見せますと、ドアを開けて挨拶もしていただきました。
マスター:こういうのがやりがいになりますね。
事例紹介②介護サービスを拒否されていた高齢の男性
マスター:他にご紹介したい事例があるということですね。
同じく高齢の一人暮らしの男性の方です。退院に際して介護サービスを利用された方がいいですよと病院も地域の方もお勧めしましたが、自分のことは自分ですると頑なに介護サービスを拒否されていました。そのままにしておく訳にはいかないので、民生委員の方と我々センターで定期的に訪問して見守りを行っていると、「これだけみんなが心配してくれるのならサービスを利用してみようか」と言ってくださいました。それで、翌日からスタートという時に、ドアを叩いても応答がないとケアマネージャーから連絡が入り、区役所にも確認して、救急隊とレスキューを呼んで窓から突入してもらいましたが、布団の中で眠るようにお亡くなりになっていました。
マスター:みんなが関わってくれることによって心を開いて、使ってみるかと。そこまで思えたこと自体がこの方にとっては素晴らしかった気がしますね。
我々も心が折れそうになることもありますが、同じメンバーで支え合ったり語り合ったりっていうことで、乗り越えて行けているかなと思います。
マスター:必ずどこかで寿命を迎えるので、それまで我々がどうやってお手伝いできるか、それがすごく大きいし、やりがいになりますよね。
こうやって皆さんに温かい言葉をかけていただけると、もっと頑張っていこうとか、皆さんと協力しながら何とかしていこうという気持ちになってきます。
何回も足を運んで話をする
マスター:お一人で頑張っている方でも、夜中に何かあって通報もできなくて亡くなったり、見守ってくれる人がいなかったり、それだけが心配だという方は結構多くないですか。
どうしても関わりを拒否される方はたくさんいますが、皆さん不安な気持ちを持っていて、奥底では関わって欲しい、そういう時に発見して欲しいと思っているはずです。それを信じて何回も足を運んで、その方とお話をしていくことが大事かと思っています。
マスター:その方に合った見守りのノウハウを持っているので、それだけでも(高齢者総合相談センターに)相談して欲しいですね。
イベント紹介
マスター:イベントがあるということですが。
2月17日に、「地域支援事業者交流会~元気に仕事を続けよう~」と題しまして、東京メンタルヘルスアカデミーの植村先生をお迎えして、前向きに元気に仕事を続けていけるような研修会を開催する予定になっておりますので、ぜひ参加して頂きたいと思います。
なかまゲスト
葛飾区医師会 いずみホームケアクリニック和泉先生
チームで寄り添う医療
マスター:先ほどの村山さんの「限りある命をチームで支えていく」というお話で、先生も話したいことがあるということなので、ぜひお願いします。
人間は病気になった時に、自分と一緒に、自分の気持ちや人生を受け止めてくれた上で治療をどうするか考えてくれる医師がそばにいると、心強いと思います。それを仮に「かかりつけ医」と言います。でも実際は医師一人の力では難しいので、例えば看護師やケアマネージャーや高齢者総合相談センターの相談員、理学療法士、栄養士など色々な職種の方がチームとして一緒に考えてくれるのが望ましい。それを仮に「かかりつけチーム」とします。
介護職の方が人を看取ったときに精神的にダメージがあると思いますが、そこに医師も含めたチームであれば、精神的なサポートも皆でできますので、「かかりつけチーム」がより必要なのかと、先程の話を聞いて特に思いました。
友人の死から考える
マスター:生きるという生命の部分を医学として支える部分と、癌などでどうしても限りがある状態を宣告された時にどうやって逆に生ききっていくのか、この2つの部分があって、医師の方は葛藤を持たれていると思います。
昨年の6月に友人を癌で亡くしました。医師として友人として、どう寄り添って行けばいいか何をしてあげられるかを考えた10ヶ月でした。人間ドックで肝臓に影があるといわれ、検査入院して結果を言われる前のタイミングで、必死に私を探して連絡をとってくれたんです。話を聞いて大体のことはわかったのですが、かかりつけの病院に一緒に行って話を聞こうとなりました。
マスター:まだ結果を聞いていなかったんですね。
例えば、癌や認知症、新型コロナと言われるのと同じで不安だと思います。でもその時、治すというのもあると思いますが、どう不安をとっていってくれるか、どうすればいいのか、インターネットで調べるかもしれないですし。その中でこちらに連絡してくれたんですね。
癌と言われてすぐに気持ちの整理ができて人生をどう過ごしていくかを、いきなり語れる方はいないと思います。まず、自分の命に対する危険を強く認識する。あと、死を意識して恐れてしまう。この方も普段は冷静沈着ですが、どうしていいかわからなくなって何から手を付けていいかわからなかったと言われました。一緒に話を聞きに行く人や理解してくれる人が別にいた方がいいのかなと思います。自分が最初にどうしたかというと、病気を克服できる最善の方向に導こうと考えました。民間療法の予約をしようとしていたのでまずはそれを止めて、今できる最善の治療を受けるため、がんセンターに転院してもらいました。
こういうことは友人に医師がいないとできないということではないと思います。どのような治療を受けたいか自分の人生や気持ちを考えた上で、治療を考えてくれる医師が別にいれば心強いと思うんですね。それを「かかりつけ医」、それを含んだチームを「かかりつけチーム」として必要な存在だと思いました。
伝えるために本を出版
友人の病気は膵臓癌で完全に転移していて、抗癌剤を開始して肝臓の腫瘍が縮小してくれたんですが、ネットをみれば1年後の生存率が非常に厳しいことはすぐにわかります。良くなった時点で親友の作家に相談したいというのがあったのですが、この2ヶ月くらいの中で良くなるタイミングが踏み切れないでいたので、相談してみたらどうですかとちょっと背中を押しました。その方も小説とか色々書いていたので、それを何とか伝えたい、何かを残したいということで。
店長:自分が生きた証みたいなものなのでしょうか。
その作家の方のおかげで12月に小説の出版にこぎつけたということでした。原稿が出る前にちょっと読んだのですが、その時の笑顔は一生忘れられないと思います。伝えたい、叶えたいというのを何とかできるようにするのも大事かなと。それを叶えるためのなにか、「かかりつけチーム」があるというのは非常にいいのかなと思いました。
マスター:形として残されたということは素晴らしいし、ご本人が実際に目にできたことは嬉しかったと思います。
友人の名前は豊島昭彦さんで、佐藤優さんという外務省にいた方が書いている本で「友情について 僕と豊島昭彦君の44年」というタイトルになります。
店長:私も読ませていただいて、ご家族のこともお仕事のことも色々な人生がそこにはあるんだなということがわかりました。
認知症もチームで寄り添うことが大切
マスター:それでは後半に進みます。
癌だけではなくて認知症についても同じことが言えるのかなと思います。認知症かもしれない、自分はどうしたらいいのか、周りはどうしたらいいのか、色々な情報が溢れている時代だからこそ戸惑ってしまう。ここでも治療にあたってくれる先生の他に、今後どのような人生を送りたいのか、認知症に不安があれば一緒に考えて診療してくれる医者がいれば心強いと思います。「かかりつけ医」といっても医師一人の力では難しいと思っていて、色々な職種の方も一緒に考えてくれるチームの存在が望ましいのではないでしょうか。
私のクリニックにある「認知症疾患センター」もそういう存在でありたいと考えています。様々な活動もしていますし、高齢者総合相談センターの方とも連携を密にとって、認知症になっても不安にならないよう、区民の方を支えていけるように考えていますので、遠慮なく相談していただければと思います。
マスター:「認知症疾患センター」のような相談できる場所があるというのは助かります。
新型コロナウイルスについて
マスター:今話題の新型コロナウイルスについても教えていただけますでしょうか。
新型肺炎とか未知のウイルスとか、インフルエンザと違って治療法がない、死者が出ていて重症化しやすいとか、隔離されるとか、(メディアの情報が)不安を大きくする要因になっていると思います。ひとつはっきり言えることは、コロナウイルスはSARSやMARSがあったので対策がある程度しやすくなっているということで、国際的に対策を進めていることがあります。克服できないウイルスは今まではないので、今回も克服はできるだろうと思います。感染の封じ込めのニュースが多いと思いますが、感染拡大してしまったときの対策ということで、厚労省も葛飾区医師会などが対策を連日連夜考えています。
マスター:これが大事ですよね。水際で止められなくて、あっちで出た、こっちで出たとなるとみんな不安になるけど、拡大したときの対策も進んでいるということですね。
日本の保健行政とか医療を信じて欲しいと思います。症状としては、おそらく7日間くらいの微熱とか発熱があった後に軽症になったりちょっと重くなったりする。その重くなった時になんとか助けるという体制になると思います。また、倦怠感などある程度症状がわかってきているので、症状の中で診断がでてくると思います。何をやったらいいかということでは、インフルエンザと同じでいいと思います。咳エチケットと言われる形で感染している可能性がある人がマスクをする。あとは手洗いをしっかりして、換気をする。くっついただけでは感染はしないんですね。中に入り込むような要素があるかどうか。
マスター:密閉された中にずっといると中に入りやすくなるんですね。
触ったり、傷ついたところから入ったりします。量の問題もあると思うので、きちっとウイルスの量を減らすことも大事です。
介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。