ゲスト:葛飾区立中央図書館 事業推進係 図書館員 川井美代子さん、井上直子さん かつしかFM「なかまで介護」第91回(2021年10月7日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

なかまゲスト

葛飾区立中央図書館 事業推進係 図書館員 川井美代子さん、井上直子さん

葛飾区立図書館の概要

マスター:まずは葛飾区立図書館の概要を教えてください。

(川井さん)中央図書館を中心として、中規模の地域館6館と小規模な地区館6館の合計13館あります。いちばん大きい中央図書館で約42万冊、地域館は地域ごとに立石、お花茶屋、上小松、亀有、水元、鎌倉図書館があり、約11万冊を各図書館で所蔵しています。地区館は四つ木、西水元、青戸、奥戸、こすげ、にいじゅく図書館があって、平均約3万5千冊ずつございます。

マスター:特徴のある図書館をいくつか教えてください。

(川井さん)今年6月、水戸街道沿いにできた「東京かつしか赤十字母子医療センター」の中に『にいじゅく地区図書館』が開館しました。産院内にある図書館は全国でも珍しく、特色を生かすということで出産や育児に役立つ本のコーナーも特別に設置、医療センターの院長先生が選んでくださったおすすめ本の展示のほか、乳幼児向け絵本コーナーも充実しています。子育て中のご家族にとっても知りたい情報のある図書館を目指しました。

マスター:子育て中の人も、どういうのを読ませたらいいか悩むけど、そういう詳しい人たちに教えてもらえると安心して子供たちに提供できますね。

(川井さん)子育て中の方だけでなく、これからおとうさんおかあさんになるプレママ、プレパパにもぜひご来館いただきたいですね。

(井上さん)職員が作ったかわいい人形や絵本にちなんだものがたくさん飾ってあって、行って眺めるだけでも楽しいと思います。

マスター:ほかにもありますか?

(川井さん)今年で10周年を迎えた『立石図書館』には、認知症を知るというテーマで4年ほど前に作られた「認知症なび」というコーナーがあります。介護について、認知症という病気について、社会的な制度や支援について、認知症の予防とケアについて、闘病記やエッセイなど、5つの項目に分けてそれぞれご紹介しています。

マスター:グループホームを運営していて認知症の利用者さんがいらっしゃるし、認知症の講演会の講師なんかもやらせていただいているので行ったことがありますが、本当にたくさんコーナーがあってきっちり整えてくれています。普通の図書館だと認知症関連の本を選ぶのに少し時間がかかりますが、ここのコーナーは本当に充実していましたね。

 中央図書館について

マスター:『中央図書館』について詳しく教えてください。

(井上さん)その時の感染状況でサービスの内容が変わってきますので、詳しくは館内のポスターやホームページを見ていただきたいのですが、今日は今現在の情報でお伝えします。

場所は金町駅前で、1階にマルエツさんが入っている複合ビル(ヴィナシス金町ブライトコート)の3階1フロアが図書館です。朝9時から夜9時(本来は夜10時)まで、休館日は第4木曜日で年末年始やゴールデンウィークもずっとやっています。中央図書館は「課題解決型図書館」と言って、地域の色々な課題を解決するための資料を取り揃えることに、特化した図書館です。ビジネス支援や医療健康情報、学校向けのサービスなど、いろいろな分野でサービスが細かく分かれ、いろいろな本をすぐに提供できるような体制を整えています。

店長:40年くらい前に図書館に行っていた時代と違って、中央図書館はものすごく空間が広々としていますよね。休めるというか、密を避けられる非常にいい図書館ですよね。

マスター:楽譜を見にいったことがあるけど、すごく充実してますよね。

(井上さん)ワンフロアでユニバーサルデザインも取り入れていて、どこまでいってもまっすぐとか、車いすや杖をついている方がいても横を人が本を持って通れるスペースが十分空いているとか、棚が全体的に低いのでセキュリティの観点とかもいろいろ考えています。児童室は子供がちょうど手に取りたい位置に本がある棚になっています。また、「いつでも、どこでも、だれでも」ということで、自由に学べるように開館時間が長かったり、書架の間に席があったり、いろいろな用途に応じた席があるので、とにかく来ていただいて。いろいろな情報を提供いたします。あと、デッキもありますので、お天気の日には外に本を持って行ってベランダみたいなところで読むこともできます。

葛飾図書館友の会について

マスター:読書に親しもうということで、図書館友の会というのがあるということですね。

(川井さん)「葛飾図書館友の会」はボランティア団体さんで図書館内で活動していただいています。今はコロナ禍でイベントは自粛中ですが、ナイトシアターやクラシック系の音楽をかけてみんなで聴くCD・DVDコンサート、キーワード読書会など様々なイベントを企画・主催してくださっています。また、『にいじゅく図書館』の開館時には人員整理に来てくださるなど、図書館のイベントにも積極的に関わってくださっています。会員も常時募集中ですので興味のある方は「友の会」ホームページをご覧いただくか、中央図書館にも担当がおりますので、来ていただければご案内もできます。

電子図書館について

マスター:広報かつしかにも掲載されていた電子図書館についても教えてください。

(川井さん)利点としては、本を持ち運ばなくてもいつでもどこでも読めること、期限がくれば自動で返却されるのでわざわざ本を返しにいく必要がないこと、文字や写真を拡大して見易くできたり音声の読み上げ機能もついていますので、目の不自由な方などにもやさしくできているかと思います。

店長:視覚障害をお持ちの方にとって、耳から入ってくるというのはとってもいいことですよね。昔は本を貸出しするだけでしたが、今はご自身の環境によってセレクトできる。図書館の多様化ということですね。

(井上さん)一時期、図書館は予約の受け渡しだけになってしまって、本の棚のところにお客様を入れられなくなったのですが、そういう場合にこういったものがあると気軽に本を借りていただけるかなと思います。

店長:感染対策や衛生面からも、今後はこういうシステムを利用される方が多くなるかもしれませんね。

(川井さん)電子図書館を利用できる方は区内在住、在勤、在学の方で、貸出し冊数は2冊まで、期間は2週間です。図書館利用登録(貸出し)カードのID番号とログインするためのパスワードが必要です。お持ちでない方は図書館にご来館いただければ登録ができますのでお問い合わせください。

人気貸出ランキング(ベストリーダー)紹介

マスター:今日は人気本のランキングを紹介してくださるということですが。

(井上さん)直近2か月でたくさん借りられた本を調べてきました。1位は「流浪の月」で昨年の本屋大賞です。2位が辻村深月さんの作品「かがみの孤城」で、3位が「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」。これは話題になりました。4位が「そして、バトンは渡された」でこちらは今年映画化です。5位が「52ヘルツのクジラたち」。最新の本屋大賞ですね。

店長:「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は簡単に言うと親子の成長物語でしょうか。

(井上さん)この本は、図書館の大人向けと中高生向けのコーナー両方に置いてあります。主人公が中学生でイギリスのお話なので、日本では感じ取ることができない人種差別とかジェンダーの違いとか、そういうなかなか気づけない、いろいろな問題が書かれています。

店長:すべて(の本)に言えることは、今この時代に読むべきだと思います。特に「かがみの孤城」は不登校というワードもありますが、自分一人じゃないということで。

(井上さん)かなり分厚い本ですが、時を忘れるくらい一気に読めます。

マスター:コロナの影響で約2年近く家庭の中にずっといるということで、子供やおかあさんおとうさん、あるいはいろんな問題がいろんな意味で出てきている。その解決策の一つにもなる可能性があるので、きっかけとしてもぜひ図書館に行って欲しいですね。

人気予約ランキング(ベストオーダー)紹介

店長:直近2ヶ月のベストオーダーというのもあるんですね。

(井上さん)1位は「透明な螺旋」で東野圭吾さんのガリレオシリーズの10巻です。2位が「琥珀の夏」。また辻村深月さんが入っています。3位が「硝子の塔の殺人」です。これらはすべてミステリーで、(人気の理由を)いろいろ考えてみますと、コロナ禍ということで今までの日常生活が送れず非日常のフィクションの世界へ癒しを求めに行かれる作品かなと思いました。あとはドラマ化されているとか、東野圭吾さんの本が出たら読まなきゃみたいな感じでご予約いただいています。

いきいきシニアコーナー

マスター:続いては、いきいきシニアコーナーの紹介をお願いします。

(川井さん)人生経験豊富で様々なことに関心の高いシニア世代をサポートするためにできたコーナーで、緑色の看板が目印です。「この人に聞く」「おいしく食べる」「楽しく働く」という3つのテーマで資料を集めています。どんな本があるかというと、シニア世代向けのパソコンやスマホの使い方、(塩分控えめの)お料理の作り方ですとか。

マスター:最近読まれている順位とかはありますか。

(川井さん)「九十歳。何がめでたい」という佐藤愛子さんの本が1位で、貸出し率がすごく高いです。

店長:この本もさらさらさらっと読めますよね。開き直りじゃないけど、やけくそが詰まっている。小気味よくて爽快。

(井上さん)ちょっと悩んだ時に読んでも、なるほどそう考えたらよかったのかというヒントが詰まっていますよね。

(川井さん)2位が「在宅ひとり死のススメ」です。3位が「ハンカチは5枚あればいい」という整理をしたらいいんじゃないという本です。4位は「ひとり老後、賢く楽しむ」という岸本葉子さんの本で、こちらもポジティブに行こうと捉えています。

(井上さん)以前、講演会で(岸本葉子さんに)中央図書館に来ていただきました。

(川井さん)5位が「老〜い、どん!」で、70〜90代のあなたにも「ヨタヘロ期」がやってくるよという樋口恵子さんの本ですね。

今後の予定、目標など

マスター:今後の予定や目標を教えてください。

(井上さん)緊急事態宣言が開けて閲覧席の開放ができましたので、図書館に来てゆっくり本を読んでいただくことができます。駅近で夜9時までやっていますので、お仕事帰りの方もぜひお立ち寄りください。10月17日の中央図書館の誕生日を中心に秋の読書週間と合わせていろいろとイベントを企画しています。連載40周年を迎えた『キャプテン翼』の記念展示のほか、10月24日に開催される「図書館見学ツアー」では普段は入れない閉架書庫や図書館の小ネタ情報など職員がいろいろご案内したいと思っています。「いろんな言葉のお話し会」は、英語をはじめ様々な外国語のネイティブな方をお招きして絵本を読んでもらったりその国の文化をご紹介いただいたりしています。感染状況を考えて人数は少なめですが、図書館員たちもはりきっておりますので、ぜひお越しください。

店長:いいですね。本たちも喜びますよね。

(井上さん)この後もいろんなイベントが続きますので、ホームページなど見ていただきたいと思います。

メッセージ

マスター:最後に、伝えたいことなどあればお願いします。

(川井さん)レファレンスサービスと言って、図書館では皆さんの調べ物のお手伝いもやっていて、調べたいテーマに沿って役立ちそうな本を図書館員が探してご紹介・ご提供しています。また、他の図書館でもイベントや企画展示をやっていますので、ぜひお越しください。

(井上さん)すべての本が電子書籍になっているわけではないので、お近くの図書館にはたくさん本がありますので、ぜひ来てみてください。

店長:言葉が豊富だとそれだけ豊かな人生を送れると思うし、逆に言葉が足りないとそれによって自分の人生を破滅させるということもあります。皆さん、本を読みましょう。

 

介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。

かつしかFM「なかまで介護」

Follow me!