ゲスト:葛飾区医師会 稲葉 敏先生 かつしかFM「なかまで介護」第38回(2019年10月10日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまで相談室

高齢者総合相談センター水元公園 笹原さん

高齢者総合相談センター役割と相談例

マスター:介護保険に関わる話、予防や健康になるためのことをされているということなので、お話をお聞きできればと思います。

介護保険の使い方や区の制度についての相談は高齢者総合相談センターに聞くというイメージがついてきたかと思いますが、他に介護予防の相談が増えてきています。前回、葛飾区で「シニア活動マップ」を作ったお話を少しさせていただきましたが、地域には介護予防で活動している団体がたくさんあるということと、住民主体サービス(サービスB)が充実してきていて、介護保険を使うことに抵抗がある方や申請しても認定が取れないのではと思われている方にも来ていただいて、近隣のサロン活動など、シニア活動マップを使って説明しながら、時には一緒に行くこともあります。

マスター:特に男性の方で、ついつい家から出なくなって行きづらいという方もいますが、男性が参加するような活動マップもいくつもありますよね。

他県から引っ越された一人暮らしの方が、向こうではこういう活動をしていたけどこの辺には何があるかわからないと言われ、マップに「男の料理教室」というのがあるので行き方だけお教えしたところ、後日サークルを覗いたらその方がいらっしゃいました。

マスター:楽しいし、生きがいができるし、頭のトレーニングにもなるし、ぜひ参加してほしいですね。高齢者総合相談センターに電話をすれば、介護だけじゃなくて、色々なものがみんなつながっています。督促状みたいなよくわからないハガキが届いて相談があった場合も必要であれば家に伺うこともあるそうですね。

ハガキを直接持って来られる方もいらっしゃいます。こちらに見せていただければ、これは詐欺ですよとわかるので、高齢者の方が犯罪に巻き込まれないようにすることもあります。

各種セミナーや講座も開催

マスター:色々なセミナーもあるんですよね。

介護予防の観点で地域住民向けに勉強会を開いています。認知症予防も含めて、11月12日には水元の体育館で「笑いヨガ」の講座を行います。また、高齢になると多くの病気を併発しがちになるので、全身の健康と深いつながりのある口腔ケアについて、必要性や正しいケアを学ぶ教室も10月25日に開催予定です。高齢者総合相談センター水元に併設している特別養護老人ホーム「水元ふれあいの家」で行います。

マスター:美味しいものを食べることは楽しみとしての生きがいもあるし、栄養を口から摂れることは大事です。「口腔が大切」だとドクター達も言っています。

なかまでゲスト

葛飾区医師会 稲葉 敏先生

葛飾区医師会の認知症対策

マスター:以前お話を伺って、葛飾区医師会として認知症に対しての対策が出来上がっているということに驚きました。

「認知症サポート医」という、認知症に対してある程度早期診断や治療を含めてトレーニングを受けたドクターがいます。全国的なもので、東京都では2日間缶詰になって講習を受けて、その後テストを受けて、合格してドクターになります。「専門医」と「かかりつけ医」の間に位置し、葛飾区でも増えて30名くらいのサポート医がいます。

マスター:認知症サポート医は着実に増えているんですね。

認知症サポート医を中心に医師会の中で認知症対策委員会を立ち上げて、認知症の早期診断・発見に結びつけて、かかりつけ医の先生の相談役になっていこうと、高齢者総合相談センターと協力しながら地域に根ざして認知症を診ていこうと。サポート医が中心になって医師会の中で活動しているところは、東京23区でも数える程しかありません。サポート医は年間で1名から2名しか推薦枠がありませんので、長く診ている患者さんをかかりつけ医の先生が診断して治療していくという流れを作りたいと、講習会を6年間で16回もちまして、参加された先生は葛飾区医師会「認知症連携医」として認定させて頂きます。まずはネットワーク作りをしていこうということで、この6年間はやってきています。

マスター:認知症連携医も130人を超えているということですよね。

今は数が多くなって132名ですね。葛飾区内の医療機関は121医療機関です。

マスター:以前、葛飾に何人くらい専門のドクターがいるか質問された時は4人で驚きましたが、今ではサポート医が30人、連携医が132人。区民としてはありがたいですね。
先生方のモチベーションの高さだと思います。

店長:他の地域も見習うべき姿で、今後も医療現場では不可欠だと思います。

マスター:東京都としてもそのような見方をしているわけですか。

葛飾区をモデルに、「もの忘れ予防検診」や「もの忘れ予防フェスタ」といったものも東京都が推奨する事業の中に入ってきています。

BPSD介護マニュアルを作成

マスター:認知症の早期発見・早期診断・早期治療に、医師会として力を入れているということですね。

医師会の中で先生方とネットワークを組みまして、認知症連携医132名が誕生しました。

高齢者総合相談センターと連携を密にしながら、定期的にサポート医が担当して、「もの忘れ相談会」を長く展開してきました。それと認知症を診断したり治療したり寄り添っていく上で非常に重要なのは、「周辺症状(いわゆるBPSD)」といわれるものです。例えば、徘徊や物取られ妄想、夜間のせん妄状態が強いというのは、ご家族や社会を巻き込んだ認知症の特徴ですが、医療だけでは手に負えません。「BPSD介護マニュアル」を作りましたので、葛飾区医師会や葛飾区のホームページをぜひ一度ご覧頂き、こういう対応をしたらいいんだと学んで頂けたらと思います。

維持できていれば、それで成功

マスター:ご家族としては、これを読むだけでもこういうことがあるんだと認識できます。そういうときの対策や対応の仕方もヒントがたくさん載っていますからね。

「BPSD介護マニュアル」にも、私の「もの忘れ外来」での光景を書いています。よく、「母の認知機能が全然戻りません。お薬は飲んでいるけど効いているんですか?」と質問されますが、記憶は元に戻るものではありません。私だって年々記憶力は落ちていきますし、まして認知症があるお母様であれば記憶力が落ちていくのは当然です。少しでも認知機能を維持できるような医療をしてあげる、そして一番大事なのは「介護」ですね。医療だけではなくて、その方を取り巻く「介護」「福祉」「ご家族のケア」によってお母様の生活が維持できていればそれは成功です、と伝えます。そうすると、今の状況でいいんだと思って頂けます。みなさん、医療を受ければ記憶力が戻るという大きな錯覚を抱きますからね。

マスター:結果が出ないとどんどん落ち込みそうになってしまうし、間違っているのかなと思う人が多いですよね。でも、稲葉ドクターがおっしゃったように、維持できていることが素晴らしいし、それを少しでも長くやっていることが、家族が努力している結果だと言って頂けると安心できるけど、それがあまりわからない。

認知症の方と「共生していく」ことと、「予防」が大きな2つの柱になっていきます。

もの忘れ予防フェスタのご紹介

マスター:「もの忘れ予防フェスタ」について教えてください。

今年で3回目ですが、11月9日にテクノプラザで行います。注目は日本の認知症の中心者であり、日本認知症予防学会会長で国立長寿医療センター長でもある櫻井孝先生の特別記念公演「しっかり食べて歩こう。認知症から逃げ切る作戦」です。もうひとつは慈恵医大葛飾医療センター教授になられた鈴木正彦先生による「認知症を予防する」のご講演。終了後にパネルディスカッションの時間も設けていて、いくつか区民の方からの質問に回答して頂こうと思います。例として「サプリメントって本当に効くの?」という質問があります。

マスター:これは相当の方が思っているのではないですか。

サプリは必ず聞かれます。もうひとつ寄せられた質問は、「認知症の診断がついたけれど、車を運転してはだめですか?」というものです。この2つはすごく質問が多いですね。

マスター:櫻井先生の「しっかり食べて歩こう。認知症から逃げ切る作戦」、いいですよね。

認知症は、高血圧、糖尿病を予防しましょうという一次予防ではなくて、二次予防から入る誰もがなる病気です。このあたりを皆さんにご理解いただかなければいけないと思います。

店長:認知症を体験してみようというものもあるんですね。

これはVR認知症体験講座というもので、認知症の方はこういうふうに物を見ているんだということを視覚で体験して頂けます。

店長:体験できるのが13歳以上ということなので、自分のお爺ちゃんお婆ちゃん、あるいは社会の高齢者の方たちに対する思いやりとか認識を高める意味で、学習のひとつとして体験してみてもらいたいですね。あと面白いのは「おしゃれ脳トレ、アロマセラピー」。

前回も大好評でした。スカーフの巻き方やカラーコーディネートをちょっと変えることで、ワクワク・ドキドキ・ニヤニヤするということが脳の血流を良くするということがわかっていて、認知症予防専門士でカラーコーディネーターの岩井ますみ先生がレクチャーしてくれます。

店長:認知症の重度になっても、おしゃれをするとか美意識のような潜在的に残っているものを切り捨てずにいることが大事ですね。

ぜひ体験して頂きたいですね。あと、アロマセラピストで認知症予防専門士でもある久保田薫先生による「脳トレアロマ」では、アロマテラピーで、香りをかぎながら脳を鍛えていきます。ご存じのように認知症というのは嗅覚から落ちていくので、嗅覚をトレーニングすることで認知機能を上げるということは実証されています。

店長:こうしたフェスタや物忘れのために皆さんが参加できる活動を医師会でしていることを、たくさんの方に知って頂きたいと思います。

 

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