ゲスト:葛飾区歯科医師会 専務理事 古宮歯科医院の古宮先生 テーマ:口腔ケアの大切さ かつしかFM「なかまで介護」第25回(2019年6月6日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

 

なかまで相談室

高齢者総合相談センター亀有 新美さん

事例紹介:身寄りがない方からの相談①保証人や世話人がいない

マスター最近の事例を教えてください。

最近は身寄りの無い方の相談が増えています。身寄りがないというのは、ずっと独身だったり、結婚したけれど離婚してしまったり、結婚はしたけど子供がいなくて、さらに連れ合いに先立たれてしまったといった方たちです。

マスター身寄りがないと、具体的にどんなことが困りますか。

例えば、アパートを契約するのに保証人が立てられないとか、病院に入院したときの手続きとか、認知症になったら将来どうしようみたいな心配事ですね。比較的、女性の方は長年友達付き合いをされていてご友人が保証人や世話人になってくれる場合が多いですが、男性は近所付き合いが苦手な方が多いみたいで。こういうご相談は男性が多いですね。

マスターそういうときにはどうしたらいいですか。

最近は保証会社というのが出てきています。費用を払えば保証人を立てなくてもアパートの契約をしてくれて、会社が保証人の役割をしてくれるものです。

マスターそれは高齢だからとか年齢もある程度考慮してくれるものですか。

高齢でも高齢じゃなくても保証人を立てられない方には、保証会社を使ってくれる不動産会社が増えています。費用は会社によって違いますが、例えば契約のときに家賃の半額をお支払いして、それ以降は1年ごとに1万円ずつ払うとか、そのような形です。

事例紹介:身寄りがない方からの相談②成年後見制度を利用する

マスターこういう保証人の話なんかも高齢者総合相談センターに相談があるんですね。

最近増えていますね。病院の入院手続きとか将来認知症になったらどうしようという方のために「任意後見」という制度もあります。お金の管理などをしてくれる人を元気なうちに決めておいて、認知症になったときに支援をしてもらえる制度です。

マスター後見人制度には「任意の後見」以外にも「成年後見人」「補佐人」「補助人」と、初めての人だとちょっと分かりづらいけど、そういうものも高齢者総合相談センターに行くと教えて頂けて、それからスタートできるんだよね。

そういったものを紹介したパンフレットも置いていますので、今は必要ないけどもしかしたら必要になるかもといった方や、興味があるという方はお気軽にいらしてください。

「オレンジカフェ」で交流

マスター地域のイベントやコミュニティを図る上できっかけ作りもされていますよね。

「オレンジカフェ亀有」という交流の場を毎月もっています。認知症に関心のある方や誰かとおしゃべりしたい方どなたでも楽しく交流して体操や歌を歌うなどしています。奇数月は第3水曜、偶数月は第3木曜の午後1時半〜3時に、特別養護老人ホーム「癒しの里 亀有」をお借りしてやっています。参加費はお茶とお菓子代で100円です。ところでマスターは、「じゅんとねね」さんを知っていますか。じゅんさんがボランティアで高齢者施設などで歌っていると聞いて、「オレンジカフェ亀有」にも来て頂こうと企画中です。

マスター楽しみですね。じゅんさんは葛飾と何かご縁があるんですか。

5年以上前の「介護予防講演会」で区と地域包括支援センターが、「じゅんとねね」さんをお呼びしたのが大好評で、それでご縁があってお話を頂きました。

なかまゲスト

葛飾区歯科医師会 専務理事 古宮歯科医院 古宮先生

葛飾歯科医師会とは

マスター:葛飾区歯科医師会について簡単に教えて頂いていいですか。

葛飾区歯科医師会は、会員が現在214名で、診療所数は179店所属しています。会長のほか副会長3名、専務1名、常務理事6名、理事8名によって運営されています。平成24年4月には公益社団法人となりました。

葛飾歯科医師会の活動内容

マスター:葛飾区と協力して健診など、いろいろな事業をされていると聞いています。

まず保健所で「妊婦(マタニティ)歯科健診」、1歳半と3歳時に「乳幼児歯科健診」、そして、全国でも珍しいのですが「2歳児と母のすくすく歯育て歯科健診」というのがあります。

マスター:「2歳」に理由はあるんですか。

乳歯が全部生え揃ったあと、3歳までの間に虫歯が急に増えるので、その予防のためです。そこでフッ素塗布までやっている珍しいケースです。もちろん大人の方の成人歯科健診もあります。長寿歯科健診、休日歯科診療の応急当番もやっています。あとは、心身障害者のためのひまわり歯科診療所、介護を受けている方など高齢者歯科診療のたんぽぽ歯科診療所がございます。

マスター:いろいろなことをされていますね。

ちょうど歯科に行けないときにお母様方の歯も悪くなってしまうので、こういう事業が始まりました。あとは会員から構成される「学校歯科医会」というのが保育園、幼稚園から始まって区立の小中学校の児童・生徒の健診や指導を行っています。

マスター:それだけ行政と協力して、地域の医療や公衆衛生の活動に協力されていますが、会員さんはなにか付けているんですか。

会員の診療所は葛飾区歯科医師会のホームページでご近所の先生を検索できるようなシステムをとっています。

かかりつけ医紹介事業

マスター:近くでいい歯医者さんを教えてというご相談もできるということですか。

「かかりつけ医紹介事業」というものもやっています。高齢の方のバリアフリーの歯科医院とか車椅子乗り入れ可能な医院も全部把握しています。

高齢者歯科診療のたんぽぽ歯科診療所とは?

マスター:在宅やたんぽぽ歯科診療所についても教えてください。

たんぽぽ歯科診療所は、全国的にも早く平成2年に開設されました。葛飾区医師会の協力を得て全身管理もして頂きながら、歯科医師会の会員が輪番で当番になっています。専門医の歯科医師も診療しています。ご家族の送迎で通院するほか、珍しいのはご自宅まで送迎して治療にあたっています。他に歯科医師と歯科衛生士がご自宅に訪問して、口腔ケアや診療をする訪問歯科診療を土曜の午後と日曜の午前に行っています。

マスター:送迎車でご自宅まで送迎して通院というのは、すごく珍しいですよね。

抜歯や歯を削ったり詰めたりは、固定診療所じゃないと精密な診療ができませんので。

葛飾方式といって、会員が輪番で当番になるのは全国的にも珍しい形態です。

お口の中が崩壊状態

マスター:実際に現場に行ったり、自分のとこに来られたり、訪問されたりなど、一番感じていることはなんですか。

いざ介護を受けられるようになって、お食事が食べにくいとかでお口の中を拝見してみると、長年、歯科医院にかかっていない方が非常に多くて、お口の中が崩壊状態で、どこから治療していけばいいか悩んでしまう方が多いのが実際です。心臓病や高血圧をはじめとした病気をお持ちの方も多くて、治療の内容によって制限がでてしまうのも事実です。

生活の中で重要な口腔ケア

マスター:グループホームという(認知症)介護の施設をやっていますが、日々の生活の中で食事ってすごく大切だし楽しいけれども、歯や口腔ケアができていないと美味しく食べられなかったり、食べられるものも制限されたり。だから訪問歯科で来て頂いて、口腔ケアって本当に大切ですよね。

実際はそうなる前にきちんとしたお口を整えて、その状態を維持していかなければいけないと思います。

店長:お口の中は内臓とかそういうところもに非常に影響を及ぼすと聞いたんですが。

お口は健康の入り口という言葉があるように、最近では歯周病と糖尿病との関係や他の全身の病気との因果関係も明らかになってきています。

 かかりつけ歯科医を持とう

店長:人間ドックなど予防の意識をする方はいると思いますが、歯の場合は、今はなんともないとちょっとおざなりにされている部分がありますね。

歯周病とかは知らない間に進んで行きますからね。何かあってからだと余計に怖い。行きたい時だけ行く「行きつけ」ではなくて「かかりつけ」。何もない時からメンテナンスに通って頂きたいと思います。

マスター: かかりつけの歯科医院を持つことが大切なんですね。

介護が必要になった時でも、レントゲンを始めとした検査データを持っていて、ゼロから始まるわけではないので、腫れちゃったといったら、あそこの歯かなって想像がつくわけです。

マスター:かかりつけの歯科医院を決めたら、どのくらいの間隔で行ったらいいですか。

歯石のつきやすさには個人差がありますので、人によっては2ヶ月とか3ヶ月。きちんと磨いていて、そういうリスクが少ない方は半年に1度とか、リスクによって判断してくれる先生が多いと思います。

予防が大切

マスター:定期的に通っていると、虫歯や歯石、あるいは歯周病になりづらい段階で事前に教わって予防ができるわけですね。

まず予防が大事で、次に早期発見、早期治療。他の病気と一緒だと思います。

マスター:歯の予防とかメンテナンスって結構忘れている人が多い。

雑誌のアンケートで、「40代のうちからメンテンナスしておけばよかった体の部位」のナンバーワンは「歯」だったんですね。

マスター:それこそ20代から40代の20年間くらいが空いちゃって、その間に悪くして、逆に言うとその間に3ヶ月とか4ヶ月に1回くらい定期的に歯科医に行っていれば、そのまま長持ちさせられる可能性があるんですよね。

葛飾区では、40歳以降5歳刻みで「成人歯科健診」というのがあって、該当者には封書で送られてきますので、きっかけにしてもらえればと思います。

店長:食べ終わってすぐ歯磨きをしているスタッフがいるのですが、聞いたところによると、ちょっと時間を空けたほうがいいと。

酸性度の強い食べ物を食べた時は少しおいてからの方が歯の表面のカルシウム分が溶け出していますから。起きた後に磨くのも、寝ている間に雑菌が、お年寄りの場合誤嚥されると誤嚥性肺炎になりますので、朝起きがけに磨いて食事をしたら磨いて欲しいと思います。

介護と歯みがき

店長:介護している母親の歯について、1日どのくらい磨いてあげたらいいですか。

食べたら歯も汚れが付くので、それを放っておくと歯周病とかになります。

フロスや楊枝は使った方がいい?

店長:フロスとかはやった方がいいですか。

歯ブラシだけだと全体の6割程度の汚れしか取れないので、デンタルフロスとか糸ようじとか歯間ブラシとか、それをやらないと完全にはとれません。

店長:男の人がよくやっている楊枝は効果があるのでしょうか。

楊枝も正しい使い方をやればいいですが、かえって傷つける場合もあります。隙間が大きい方は歯間ブラシがいいと思います。そういう使い方もかかりつけの先生が指導してくれると思います。

 

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