ゲスト:NPO法人かつしか市民後見センター 橋本理事長・馬場副理事長 かつしかFM「なかまで介護」第66回(2020年9月17日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまでゲスト:NPO法人かつしか市民後見センター 橋本理事長・馬場副理事長

成年後見人制度とは

マスター:まずは「成年後見人制度」についておさらいしますね。

・まだ判断脳力を持っている状態で、年を取ってちょっと不安という時の先々に備えてお願いしておこうというのが「任意後見制度」で、認知症の症状あるいは交通事故とか、どうしても判断能力が落ちてしまった段階で後見が必要だという時には、「法定後見制度」になります。

・一番軽い状態で「補助」あるいは「補佐」、あるいは本当に必要になってしまってからの「後見」と3段階に分かれています。

・すべて、本人や配偶者、市区町村などの申し立てによって、家庭裁判所が間に入ります。

・任意の場合もそうですが、家庭裁判所に色々な情報を流して、こういう感じでやっていきたいと(申請します)。それで判断をして、後見人さんはこの人で、財産の管理や施設を探すとか、そのようなものをやっていいですよと、家庭裁判所がOKを出します。そこから、橋本さんや馬場さんたちが活動されるという、そのような制度です。

・平成27年から、全市区町村に実施をしなさいと国の制度として活動されています。

・成年後見の中の「市民後見推進事業」というものを国が指定して、身近な形でこまめにやっていけるような支援をしましょう、市民が後見人として頑張ってきましょう、育成していきましょう、ってことで市民後見事業を推進しているというところです。

団体の設立と目的

マスター:早速ですが、団体の設立経緯や目的を教えてください。

私どもは、「あなたのそばの市民後見人、人生の伴走者として、認知症になっても障害になっても安心して生活ができるように、寄り添ってお手伝いをしていく」ということを目指しています。地域の安心安全ネットの一員となりたいということですね。

今ご紹介いただいた市民後見制度は、葛飾区の場合は早く取り組んでおりまして、平成24年に介護相談員や生活支援員を、モデル事業として東京大学の市民後見人養成講座に派遣した時の条件として、葛飾区の長期計画で、毎年、市民後見人を育成していく時の受け皿としてNPO 法人を作って欲しいということで、平成25年に NPO 法人を設立して、今年で7年経ちました。現在までに任意後見を2件、法定後見を4件体験してきております。

 団体の構成について

マスター:会員の方ですとか構成はどのようになっていますか?

当初は14人、現在は入れ替わりがあって12人、それに活動を支えていただく賛助会員がいます。メンバーの職種は、当初の介護相談員や生活支援員のほか、看護師、保健師、介護福祉士、ケアマネージャー、社会福祉士、設立当初はファイナンシャルプランナーさんがいらしたり、東大の先生が手取り足取り応援してくださったりしました。現在は、社会保険労務士さんや不動産の関係の方もいらっしゃいます。成年後見というのは生活すべてですので、やはりきちんとした勉強が必要になります。

ネットワークが重要

マスター:生活には医療や介護、不動産、いろんなことが関係しますからね。そういう多くの専門知識をもって、全部を支えていくわけですね。

いろんな方達とネットワークを組む必要があります。葛飾区の各課もあれば、成年後見センターとも密に連絡を取り合うほか、障害者の方の団体や高次脳機能障害の家族会の方とか。それから専門職の方の勉強会なんかにも参加させていただきました。首都圏の市民後見をやっている団体と連携をとるなど、できるだけネットワークを広げて色々な情報入手と交流をしております。

事例①知的障害のお子さんを持つ高齢男性

マスター:次は馬場さんに、具体的な事例についてお伺いします。

お一人目は、高齢男性の父親と知的障害の子供さんの二人暮らしの方です。

お父様は身の回りのことは何でもできるしっかりした人だったのですが、将来の事を考え、老後のことを法人にお願いできないかと依頼がありました。この時はすごくお元気でしたが、だんだん衰弱が進んで持病が悪化したため入院となり、その時から私たちの具体的なお手伝いが始まりました。受診時のタクシーの手配や付き添い、手術時にはその前後の付き添いや見守りなど、何度も面会に行ったり、お医者様とのやり取りや支払いをしたり。

とうとうお家では住めなくなって介護施設を探すということで、一緒に見学をして、入居契約のお手伝いもして、入所された後は月一回の見守り訪問をしています。ご本人はしっかりされているので、自分のお金を使って生活用品を買ってくれないかとか、送金や現金の引き出しとか、あとは、もうお家に帰れないとおそらく悟られたと思いますが、家の設備の解約も随分とおこないました。具体的に言いますと、郵便物の回収、留守宅の換気、お布団が湿っちゃうから干してねとか、そういうことも。

お子さんの後見人になる

マスター:身近なことでいろいろ(頼みたいこと)ありますよね。

ご本人のご依頼で、亡き後の葬儀のお手伝いもさせていただきました。少し前後しますが、まだお元気な時に、知的障害のお子さんの将来が心配だから誰か後見人になってもらえないだろうかと(相談がありました)。誰かがいつもそばにいないとこの子は一人では暮らしていけないとすごく心配されていて、損をしたり騙されたりする可能性があると強く思われていましたね。それで、私達かつしか市民後見センターが後見人となりました。

現在は、区内の施設の個室に入居して、共同生活をされています。月一回、施設訪問をして本人に会って、困っていることがないか体の調子はどうか、見たり聞いたりしています。少し意思の疎通が低い方なので、お部屋がちゃんとされているかも見せていただきます。あとはお世話をしてくださっている人たちともお会いして、約1時間のミーティングをして、何か問題点がないか、皆で話し合っている状態ですね。

「孤独にしない」ということ

マスター:自分自身が衰えていくことだけでも心配だけど、その上、お子さんが障害を持たれていた場合にはもう本当にどうしたらいいかって感じになるけど、先にご相談しながら、その後のお子さんのことも見ていただけるとしたら、亡くなられたお父さんも本当に喜んでいますよね。自分も介護の施設を運営していますが、ご本人だけでなく、お子さんだとか全部(のお世話)をやられているのは凄いなあと思って聞いていました。

生活に寄り添うということは、本当に全体を見ながら、そして孤立しないようにいろんなところに繋げていくということです。市民後見人にしかできない発想もあると思いますし、本当にきめ細かく、温かい気持ちでご縁のあった方々を支援していこうという思いですね。

法律で守られた制度&市民後見人の募集

マスター:介護もいろんな制度があるけど、時間の区切りだとか限界がある。お話を伺うと、それこそ、お布団が湿ってるんじゃないかとか、本当に細かい気遣いをされていますね。

人のお財布の手伝いもするというのは、やっぱり成年後見制度という法律がきちんと守ってくれているということですよね。

マスター:ちゃんとした制度として国がちゃんと認めていて、まして家庭裁判所も入って。そういう意味ではこれからも市民の方々の協力を得て、そういう組織がもっともっとたくさん必要になるなという現実ですね。

事例②認知症をお持ちのお一人暮らしの高齢女性

マスター:別の事例も教えていただけますでしょうか。

高齢者の女性で身寄りがない一人暮らしの方ですね。この方は区役所からのご紹介で、認知症の方です。施設に入居されていましたが、脳梗塞を起こして医療が必要になったので、この施設では対応が不可能になり、それで入院の手続きをして、付き添って入院しました。

何週間か入院されて回復したので元の施設に戻ろうとしたんですが、受け入れを断られてしまったんです。それで本当にやむを得ず、リハビリ病院に入院手続きに行って、そのまま入院しました。その間に受け入れ先の施設を探していましたが本当に見つからなくて、3ヶ月間があっという間に過ぎて、リハビリ病院からも退院してくださいって言われますよね。どうしようかと思い、苦肉の策で一時的に知り合いの介護施設に6ヶ月限定で入居させてもらいました。あの手この手で探して、周りのいろんな関係者の方たちの手助けもあって、7ヶ月目にやっと入所先が決まった時は、本当に心の底から嬉しかったですね。

マスター:見取りまでをおこなう施設も増えてきてはいますが、医療的な行為が必要になると、施設にお医者さんが常駐しているわけではないので、受け入れられなくなってしまう。だからこそ、次のところを探すのに本当に大変な思いをされたと思うし、多くの方も同じようになる可能性はあります。見つかってよかったですね。

現在は月に2回訪問させて頂いて、本人が希望される物とか衣料品とか生活用品とか、そういう物をお預かりしたお金の中から支払っています。今はコロナ禍で実際にお会いできないので、施設とは電話で対応しています。何かあれば、その都度、施設から連絡があり、つい先日も、熱が出てお医者様が往診してくださって解熱剤を飲ませたら1日で解熱しましたという連絡がありました。今は看取りまで見られる区内の施設の個室に入られて、こちらの見方ではありますが、安心して暮らせていると思います。

マスター:お一人で住んでいる方、あるいはご家族はいらっしゃるけど地方に嫁いだとか仕事で移られてすぐには行けないとか、そういう方が多くなってきている。かといって、娘や息子の地元に行くこともできない。そういう場合に、身近な橋本さん馬場さんみたいな人が、施設を探すとか、病気が発生したからこっちに移動する、そこから病院に行く、リハビリを探さなくちゃとか(やってくれる)。これってご家族でもできない方がいらっしゃるよね。

行政にも限度があるので、そこまでの細かい部分まではどうしても動けない。だからこそ、こういう市民後見制度ができて、こういう方々がたくさん増えて、細かいところまでお手伝いできるように普及しないと、先々の段階でもっともっと大変になる。

 成年後見制度を知る、使う

マスター:橋本さんの方から何かお伝えしたいことはありますか?

少しでもこの成年後見制度を知ってほしくて、研修会やセミナー、講演会をやっていますが、今年はコロナの関係で中止になりました。他人事じゃなく、自分の将来こういう道具を使って安心安全に生活していく。特に亡くなった後も、「死後事務」と言うんですが、そこさえもお一人の方は考えとかないといけません。

 仲間を増やしたい

マスター:そこまでもやられた事例を聞いて驚きました。

NPOだからこそお手伝いできるということがあります。今は12人で頑張っていますが、研修の場がいろいろありますので活用して頂いて。賛助会員として一緒に勉強しながら、正会員になって頂くコースもあります。1人でも多く仲間になって頂きたいと思っています。

マスター:今度の広報かつしかに載るものとは別なのでしょうか?

(広報かつしか9月15日号で)募集をかけているのは、葛飾区の成年後見センターが葛飾区の市民後見人を養成するものです。ただ、こちらも人材が必要ですので、成年後見センターで研修を受けた方が私どものNPO法人に参加して頂いても一向に構いません。二足三足のわらじを履いて地域活動ができる、本当に生き甲斐に繋がると思います。とにかく私たちは「人生の伴走者」ですので、長い人生を一緒に生活を考えていくということで、関心があったらぜひ仲間になってください。

 賛助会員について

マスター:具体的な賛助会員の金額を聞いてもいいですか?

賛助会員が年間3,000円、正会員が年間5,000円です。研修を企画した時は賛助会員さんには無料で受講して頂いて一緒に勉強しながらいずれ会員になっていくことを考えています。

マスター:かなりお安いですね。

毎月1回、運営会議を開いていて、そこで担当しているケースとかその時の情報共有をしています。勉強する機会というのは定例的に設けています。

 市民後見人の研修、講座

マスター:市民後見人になりたいと思った時の研修の時間などはどれくらいですか?

国がカリキュラムを紹介しているんですが、一応50時間以上になっています。たまたま今、東京大学で「市民後見人養成講座」を10月24日から10日間スタートしますが、これは有料です。ちょうど募集している最中で、オンラインでも配信するそうです。

マスター: 5時間ずつ間を置きながら10日間くらいでやるというイメージですか?

東京大学が会場なので、学校の休みや空いている教室で、何か月かに渡ってという感じです。

マスター:専門の知識を得た上で、実際にお手伝いに入って頂くということなんですね。

福祉、医療、法律、税金の関係とか、金銭管理も大きな柱のひとつなので、本当に幅広い。倫理や個人情報をきちんと守れて、そして温かい気持ちで寄り添える人材を、勉強(講座やセミナー)の中から育てていくということです。

 

店長:何かに利用しようとか、そういう人たちはダメと見極められるシステムにもなってるんですよね。

理事会がありますので、そちらで会員になっていただけるかどうかの検討をします。あと、個人情報はとても大事ですので、その宣言をしていただく。一応いくつかはルールを設けていて、定款の他に色々な規定が10数種類あるんです。

メッセージ「誰かと繋がる」「老後の不安を解消する6つのこと」

マスター:最後に、伝えたいことはありますか。

いろんなことがわからなくても、「誰かと繋がっていればどこかに繋がります」。特に高齢者の場合は、地域には包括支援センター、民生委員さんもいますし、いろんな活動をしている方に繋がりますので、そしたら本当にひとりぼっちではないということの有難さがわかってくると思います。

それと、おそらく老後が心配と思われる方が多いと思いますが、「見守り」、それから意識があるうちに「任意後見契約」をしておく、無駄な医療は受けない「尊厳死」、自分の財産は自分で使う「財産管理」、貴重な財産をどう渡すかという「遺言」、最後は死んだ後のことをきちんと頼んでおく「死後事務委任」。この6つが整理できれば、また、誰かと繋がっていれば、安心した老後が考えられますよということです。

できないと思うことはやらないことで、やろうと思えば本当にできるんですね。どこかに相談に行けばできます。

 

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