ゲスト:葛飾区医師会 地域医療部 地域包括ケア担当理事 大山クリニック院長 大山高令先生  テーマ:「地域包括ケアとフレイル予防 かつしかFM「なかまで介護」第17回(2019年3月14日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまゲスト

葛飾区医師会 地域医療部地域包括ケア担当理事 大山クリニック院長 大山高令先生

地域包括ケアの概要

マスター:まずは「地域包括ケア」について教えてください。

家族を中心に行われてきた日本の介護ですが、2000年から介護保険制度が始まって社会全体で介護をしようという流れになりました。その中で、2006年から介護予防が始まり、その流れをさらに進めて地域で介護をしようと「地域包括ケアシステム」といったものが2010年から始まっています。

「地域包括ケア」には5つの要素「医療」、「介護」、「介護予防」、「生活支援」、「住まい」があり、この分野を整備することによって住み慣れた地域でいつまでも過ごせるような体制を作っていきましょうというのが「地域包括ケア」です。ご自宅、グループホーム、脳卒中や転倒骨折後に動けなくなるなどして要介護になった場合の特別養護老人ホームなど、住まいの範囲が広がっています。最近増えているのがサービス付き高齢者住宅(サ高住)で、有料老人ホームのようなものもありますし、色々なバリエーションがある中で住まいをどのように整理するかが、ひとつの要素になります。

地域包括ケアとしての生活支援とは

店長:長く住んでいるからこの地域にこだわる。特に、自分の家にこだわるという人が少なからずいると思います。

住み慣れた地域でずっと暮らせるようにするシステムを作っていこうというのが「地域ケア」。その要素として必要な「医療」と「介護」の連携、「介護予防」をどうするかといったことも重要な要素で、見落としがちなのが「生活支援」をどうするかといったところですね。

 マスター:「生活支援」とはどういうことでしょうか。

生活保護になってしまうのか、そこまでいかないのか、その間の人の生活をどのように支援していくかを考えるのも地域包括ケアにはとても重要です。生活支援をどのような形で補うかなども高齢者総合相談センターで相談に乗ってくれますが、医療面に関する相談には十分にバックアップできないといったところもあります。そこで、医師会で医療と介護の連携を支援しようと地域包括ケア推進委員会をおこなって、「かつシカ連携医相談室」というものを作っています。

 葛飾区の地域包括ケアの取り組み

マスター:どういったものでしょうか?

東京都の地域包括ケアに向けた事業項目といったものがいくつかあって、その中のひとつに「在宅医療介護連携支援センター」を区市町村で作ってくださいというのが項目としてあげられています。葛飾区医師会が区から受託して、『かつシカ連携医相談室』といった名目で在宅医療に関する相談を一手に引き受けて、地域包括ケアを進めようとしています。14箇所の高齢者総合相談センターと連携しながら、7名いる連携相談医の方が、毎月、必要に応じて医療面で心配なことをサポートしています。

 マスター:認知症の方の『もの忘れ相談会』も高齢者総合相談センターと医師会さんで行ってくださっていますが、それも含まれるということでしょうか?

「もの忘れ相談会」も認知症対策委員会として葛飾区医師会がサポートをおこなっていますが、認知症だけでなく、介護に関わる疾患である脳卒中、転倒骨折、フレイルに対してもそれぞれ対応できるようにしています。

 フレイルについて

マスター:ロコモとフレイルについて教えてください。

75歳後期高齢者になってくる方々はもうほとんどロコモ状態です。運動器、体を動かす機能というものはだいぶん落ちています。これを「ロコモティブ症候群(運動器症候群)」といいますが、それにもうひとつ、筋肉量が落ちてくることを「サルコペニア」と言います。ロコモの運動器の機能低下とサルコペニアの筋肉量低下、こういったものが合わさってくると、身体面の衰弱、フィジカルフレイルといったものになります。そのほか、口のオーラル面の機能のフレイル、認知症だとか鬱といったブレイン(脳)のフレイル、閉じこもってなかなか外に出ないとか地域との交流がなくなってくるソーシャル=社会的なフレイル。4つが合わさった全体像を一言で言うとフレイル状態ということになります。

 オーラル面のフレイル予防の重要性

マスター:全部が合わさらないと予防して支えていくことってできないですよね。

ロコモから身体的なフレイルになぜ落ちるかというと、食べる機能が落ちているとか栄養分が足りていないとかですので、そういった口腔、オーラル面のフレイル、衰弱の対策をしなければならないということになります。

 店長:歯科医師会でも訪問歯科などに力を入れていますが、口腔ケアはすごく大事ですね。

80歳で(自分の歯が)20本あるかといったことも言われていますが、口腔面のケアから食べる内容、十分なエネルギーをとっているのか、十分なたんぱくをとっているのか。

 フレイル予防サルコペニア対策室

マスター:フレイルの中でも、特に力を入れているものはあるのでしょうか?

口腔ケアが必要であるとか食べることが困難であるとか、そういった方でオーラル的なフレイルが進行している方を重点的に対応しながら、筋肉量が落ちることによってフィジカルフレイルも対応しようといった形で、葛飾区医師会「フレイル予防サルコペニア対策室」を作って対応することにしています。

 ソーシャルフレイル対策

店長:現役で働いていた人たちが、家の中にこもりがちになってなかなか外に出にくい。女性よりも男性の方がコミュニティ生活というのが下手ですよね。

そういった方をどのように地域に参加して、生きがい、やりがいを見つけていくかといったこともソーシャルフレイル対策ということで重要になってきます。

フレイル状態をチェックする

マスター:フレイル予防の推進として、どのようなことをされているんですか。

ひとつめは筋力が低下しているかどうかのチェック項目で、これは握力計を使えば簡単です。男性で25 kg 女性で18 kg より少ないかどうか、簡単に言うとペットボトルを開けられるか。もう一つは歩行速度が落ちているか。これは1秒間に1m歩けるかどうかですが、具体的には青信号を渡れるかどうか。次にオーラル面、口腔面のフレイルといったのは、体重が減少しているかどうかが一番です。およそ6か月で2~3キロ体重が減ってきたという方は、体重減少のオーラルフレイルがあるのではないかと言ったことが考えられます。

 マスター:勘違いしないでくださいね。若い方ではなく、高齢の方のことですよ。

もうひとつ、脳のフレイルに関しては、「なんか知らないけどここ2週間くらい疲れてやる気がしないなあ」といった疲労感がある方はブレインフレイルがあるのではないかといった、ひとつのチェック項目になります。最後に、ソーシャル面のフレイルといったものは、身体的な活動が減っている。具体的には、ここ一週間、体を動かしたりしていないという方は身体的な活動が減ってきて閉じこもりがちではないかというチェック項目になります。

マスター:このチェック項目というのは高齢者総合相談センターとフォローアップしながら、ご相談している方をチェックしたり、キッカケを作ったりしているのでしょうか。

高齢者総合相談センターには、『65歳からのいきいき元気度チェック』というものがあります。これは厚生労働省からの指針で25項目をチェックするのですが、生活機能とか運動器に問題があった人はデイサービスの介護予防に行ったり、認知症機能や生活全般の問題がある方は認知症対策の「もの忘れ予防相談」に行ったりします。栄養状態や口腔機能などの項目で引っかかる方は、オーラルフレイルに該当するので葛飾区医師会の「フレイル予防サルコペニア対策室」に来てくださいといった流れにはなっています。

 マスター:全体を通してのフレイル予防、ましてや医師会さんの方でやって頂いていて、高齢者総合相談センターでチェックの項目もあるので、ぜひこれを活かして頂きたいですね。

 メッセージ

マスター:そのほか伝えておきたいことがあればお願いします。

健康寿命を少しでも延ばして人生100年を元気で過ごすためには、介護予防、特にフレイル予防つまり衰弱を予防していかなければなりません。高齢者総合相談センターでチェックしてから葛飾区医師会の「フレイル予防サルコペニア対策室」に来て頂いてもいいですし、直接、葛飾医師会にご連絡頂いて、フレイル予防サルコペニア対策をしてもらえないかということでも構いません。

 マスター:高齢の方は健康寿命を増やして、元気で人生を楽しんで頂けたらと思います。

介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。

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