かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!
このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。
なかまゲスト
居宅介護支援事業所 喜楽里・けあ 代表取締役 落合真美氏
介護のお仕事を始めたきっかけ
マスター:この仕事とは始めたきっかけを教えてください。
要介護5の父方の祖母の介護をするために、同居していた叔母2人と私、従兄弟1名がヘルパー2級の資格を取って家族支援を始めました。そのうち一人の叔母は最終的にケアマネージャーの資格まで取って、江東区で実際にケアマネもやっていました。
マスター:要介護5だと、内容的にはかなり大変だったのではないですか。
叔母と2人がかりで入浴介助して、食事も最終的には胃ろうになったので、エンシュアリキッドという医療用の寒天で固めてシリンジで管から栄養剤を注入することもありました。寝たきりになってからのオムツ交換も、拘縮といって身体が硬く固まってしまっていたので足をこじ開けながらで大変でした。私達の介護支援の他に受けていたサービスとしては、訪問介護サービス(ヘルパー)、通所介護(デイサービス)、訪問看護、訪問診療、訪問入浴、ベッド一式を福祉用具貸与で、医療保険で訪問マッサージも利用していました。
店長:介護によって壊れていく兄弟もありますが、落合さんのところは家族全体の仲の良さとか団結みたいなものを感じますね。
基本的にはヘルパーさんが何時に入るという感じで、一人ずっとついていた叔母の他に誰がいつ行けるか、候補を挙げていって、叔母を支援していくということでした。
マスター:関わる皆さんが勉強して、介護の知識を共有しているからこそできることもある。お互いの大変さがわかるからね。
居宅介護支援事業所とは
マスター:今のお仕事の内容を教えてください。
居宅介護支援事業所は、介護や日常生活に支援が必要になっている方のご利用をサポート、居宅介護支援専門員は通称「ケアマネージャー」と呼ばれています。要介護1~5と認定された方で居宅での生活をご希望の場合、まず居宅介護支援事業所を決めて、今の生活で困っていること、これからどのような生活を送りたいかなどについて話し合い、ホームヘルパーやデイサービス、訪問入浴、訪問看護、福祉用具貸与、住宅改修などの事業所と契約してもらう間柄です。介護サービス開始後は様々な支援をケアマネに相談、自分にあったケアプランを作成します。
ケアマネージャー(ケアマネ)の役割
マスター:自分にあったケアプランを組み立ててくれる、その相談役がケアマネさんですね。
ケアマネさんが申し込みをまず受けて、居宅サービス計画などに関する契約を締結します。お宅を訪問して、利用者さんの解決すべき課題を把握して、地域のサービス事業者の内容や料金など伝え、こんなのどうですかと提供する居宅サービス計画の原案を作成、利用するサービスを選んでいただきます。そして計画に沿ってサービスが提供されるよう、サービス提供事業者との調整をおこないます。
マスター:初めての方は、14箇所ある高齢者総合相談センターに相談して、介護保険を申請して、下りてきたら、どこかの居宅介護支援事業所さん、ケアマネさんを決める。
申請が下りる前から暫定的に決めることもできます。
マスター:多くの方は、何をしたらいいのか、どういうサービスもあるのか知らない。それをケアマネさんが専門家として相談に乗ってくれて、あなた用の生活パターンを全部コーディネートして作ってくれる。
その後も、利用者さんやご家族様と毎月連絡をとって、サービスの実施状況の把握を行い、サービス提供事業所との連絡調整をします。
店長:時間が取れないという家族のために、ショートステイを利用して2日ぐらい旅行に行けるようにとか、介護する側の負担を軽減してくれるような提案までしてくれるんですよね。私も随分救われました。
最終的に利用者さんの状態について定期的な再評価をおこなっていきますが、体の状態などが変わってしまった場合は必要に応じて居宅サービス計画の変更もできますので、途中でプラン内容を変える方もいらっしゃいます。施設への入所をご希望の場合は、施設の見学や利用料金を検討、申し込み、契約をして、その後、施設のケアマネさんと相談してケアプランを作成して行くこともできます。
コロナ禍での対応について
マスター:コロナ禍においての現状を教えてください。
訪問の度にマスクとエプロンは使い捨て、フェイスガードをつけています。濃厚接触者または濃厚接触者疑いとされた方への訪問も継続していますが、その時は防護服を着用します。それ以外に、日本財団が支援してくださって、スタッフのPCR検査を毎週実施しています。
店長:コロナ禍でも、今までと同じサービスを続けるには、己のいろんなことを犠牲にしているはず。こういう人たちが守られるような社会であって欲しいとつくづく思います。
事例紹介:介護度は上がっても生活の質を高める
マスター:事例を教えていただけますか。
一人で三郷市に住んでいる73歳の義理の母のことをお話しします。5年前に要支援、その後は要介護1で、体の状態が変わり区分変更の申請をしていたところ、昨日には要介護3と判定されました。5年前に引きこもりや眠れないなどの鬱症状があって受診、アルツハイマー型認知症と診断されています。介護サービスを導入するにあたっては、本人が萎縮しないように「まずやってみて嫌なら止めたらいいよ」と声をかけています。カラオケが好きなので、カラオケができるデイサービスを紹介したら気にいってくれて、お友達もできて、カラオケやお風呂を楽しみに、今は週2回デイサービスに通っています。元々仕事をしていて料理はしていなかった義母ですが、ヘルパーさんがうまく誘導して一緒に作っています。いろんな調味料を使わなくていいように“めんつゆ”を使って味付けしたら、料理が楽しくなったと言っていました。
マスター:ヘルパーさんはさすがですね。
今年の4月上旬に座骨神経痛で歩けなくなっちゃったんです。神経ブロック注射を4、5回やって、今は違和感は残っていますが、杖やベットを借りて、訪問診療や配食サービスを受けて、ヘルパーさんを週3回に増やして、デイサービスに週2回行っています。お友達と再会できたと凄く喜んでいます。
店長:介護度が上がれば過酷な状況になっていくと思いがちなのに、こうして提供するものの組み合わせによって(生活の質が)良くなることもあるんですね。
介護度が3に上がったので、使えるサービス(限度額の単位数)に応じて、これができるんじゃないという話をケアマネさんとしています。具体的には、歩行器を使ってヘルパーさんと一緒に買い物に行って帰ってくる、そういうことも考えていきたいと思っています。
店長:身体自体は確かにしんどいところが出てきているけど、心がそれを補う部分ってありますよね。
ヘルパーさんと行けば安心・安全に行けるというところがあるので、本人もそうしたいっていうふうに、たぶん受け入れてくれると思います。
介護の在り方
マスター:高齢者にとって、残された時間は本当に大切だと感じるし、生活の質が上がることで自分の心が満たされていくのを介護の人たちが支えてくれる。それをぜひ目指していきたいし、あきらめないで欲しいね。
あと、葛飾区では、配食サービス事業、寝具乾燥消毒サービス、見守り型緊急通報システムの設置、家庭用卓上電磁調理器の購入費の助成、高齢者出張理美容サービス、オムツの支給や使用料助成、シルバーカーの給付、自立支援住宅改修などもやってくださっています。
マスター:そういうものも、ケアマネさん達がよくご存じなので、うまく利用して生活を楽しんでいくことができるってことだよね。
店長:介護をせざるを得ない人をもつ家族にとっては、落合さん達の存在は救世主ですね。日本人は自分たちでやらないといけないと背負うので、甘えることをしなくなってしまう。
甘えていいんです。いい知恵を出し合って、より質の良い生活をしてもらうのが理想です。いろんな人と出会うことで、いろんな知識も入るし、心も豊かになっていきます。
介護予防
マスター:介護予防という枠も結構あると思うのですが。
要支援1,2と認定された方は、高齢者総合相談センターの方も交えて介護予防プランを作って、各種介護サービスをご利用いただけます。非該当となった場合でも、介護予防プランを作成し、介護予防日常生活支援総合事業を使えます。
マスター:わかり易く言うと、近くのサロンに通うようなこともできるってことですね。こういう介護予防というのもあるので、まずは高齢者総合相談センターで相談してください。
希望や目標
マスター:今後の目標や、こんなことをしたいというものはありますか。
濃厚に人と接触する場面が多いので、より安全に介護ができるように、介護従事者もなるべく早く優先的にワクチンが受けられるようになることを願っています。
また、葛飾区子育て支援部育成課の「多胎児世帯家事支援事業」で、家事サポーター派遣事業を支援する予定です。双子ちゃんや三つ子ちゃんなど多胎児を妊娠している方、育児している方のご家庭へ家事サポーターを派遣し、ご家庭のお困りごとをお手伝いします。要介護者やそのご家族の支援だけでなく、多胎児世帯の方のご支援を通して、地域の人々に優しさとあたたかさ、真心や安心をお届け、みんなの笑顔を大事にしていきたいと思っています。
介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。