ゲスト:東新小岩7丁目町会 中川町会長 かつしかFM「なかまで介護」第67回(2020年10月1日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまゲスト:東新小岩7丁目町会 中川町会長

町会の概要

マスター:まずは町会の概要を教えてください。

新小岩駅から700 メートルほど北側にあって、大きくも小さくもなくちょうどいい町会かなあと思っています。平和橋通りと中川の間にはさまれた場所で1,728世帯、住民としては3,500名くらい、役員は約40名でやっています。新小岩駅が近いので便利なんですが中川が近いということで危険な地域でもあります。よく町会は年寄りばかりでどうにもなんないという話を聞きますが、おかげさまでうちには若い人がたくさん入ってくれまして、40人のうち半分ぐらいは40代、50代なんですね。

まずは気軽に参加してもらう

マスター:何か理由があるのでしょうか?

若い人たちに防災を手伝ってもらおうと話をしたところ、まだ仕事にも行ってるし、そこから役員になるのはできないよと言われたので、まずは市民消火隊をやったらどうかということで、勧誘しました。市民消火隊は町会の下部組織になるので、そこで見込みがある人を1本釣りしました。その人を軸にして今度はその人たちの友達(小学校の生徒たちのお父さん)である「おやじの会」の人たちに町会をやってみないかと(誘って)、最初は市民消火隊をやってもらって、町会は面白いだろうと言って、またその人たちにいい人を誘ってもらって…。そういうことを15年くらい続けると半分くらいが40代50代になりました。

マスター:若い人は防災に非常に危機感を持っているので、そういう切り口は面白いですね。

商店街の人からは、忙しくて手伝えないし、町会活動なんかやらなくていいと言われますが、「それなら市民消火隊をやって、休みの日に練習すればいい」と言うとやってくれるんです。そういったことを切り口にすると、どこの町会でも人が集まるんじゃないでしょうか。15年後には半分くらいが若い人達になっていく可能性があるので、ぜひやってみてください。

マスター:まずは知り合うということでしょうか?

ただ、ほとんどがサラリーマンですから、会議などは土日か夜にしかできない。ですから部長会やイベントを大体は土日祭日や夜に実施すれば、皆さん出てきてもらえます。今まで通りやっていたんじゃ出てくる機会がなくなりますので、発想を変えていくのがいいですね。

町会のロゴマーク

マスター:町会のロゴマークを作ったと聞きました。

(ロゴマークは)名刺にも書いてありますが、町会に加入した人にはステッカーを配って、家のポストとか玄関に貼ってもらおうということです。色には意味があって、黄色は、町会を支えてくれる「地域の方」を表し、緑は「町会員」、赤は「町会役員」です。全体的なブルーは「晴れた空」の色、緑は穏やかな感じで、赤はみんなのために燃えてがっちりやろうという心意気、というような意味合いで作りました。

マスター:こういうのがシールとしていろんなところに貼ってあるということですね。

うちの町会で災害(防災)旗を作ったんですが、これはどうしてかと言うと、例えば地震が来てみんなで逃げたら散り散りバラバラになってしまう。でも、この旗をどこかの公園の木に揚げておけば、そこへ集まることができる。そうすると孤独にならないんじゃないかと。(その時)どこの旗かわかるよう、日頃から(このマークのシールが)玄関とかに貼ってあると町会のものだとわかる。防災訓練でも、この旗に集まってと伝えています。

自分の状態を旗で知らせる

店長:言葉だけじゃなくて、視覚に訴えながら頭の記憶の中に残しておくということですね。あと、自分の家の前に吊るしておくようなイメージの旗(救援表示旗)があって、赤い旗の時は「要救援」、白い旗の場合は「救急不要」と「赤い旗のところに行って助けよう」という意味です。役員や消防が来るのを待っているだけじゃなく、隣近所で助け合いましょう、共助ということです。

マスター:うちの町会でも、独居の方とか老々介護の方が増えているから、もし何かあった時にどうしようって話が出るんだけど、そういう旗を出してくれると、全部に行く手間がかなり絞れて、必要としている方のところに行けますよね。

一番大変なのは、赤も白も出せなかった人。それは白を出した人が確認に行きましょうと。高齢者だったり、下敷きになったりしているかもしれないので、そういう(白の人が確認に行く)約束になっています。消防や警察が来る前に全部確認を終わらせようという感じです。

今これをアプリに落としこもうとしています。皆さんに見てもらって、共有してもらわないと意味がないですよね。

マスター:それはいいですね。区内全部で共有できたらこれすごく助かるな。

普段も使えるというのは、高齢者とか一人住まいの方とかいて、孤独死なんかもあるじゃないですか。(例えば、)希望者だけですが、家の周りの5,6人にお願いして、毎日、白い旗を出すクセをつけておいてもらう。出ていないとか赤色の旗が出ていたら、どうしたんだ?ということで、近所の人から教えてもらう。熱があるから悪いけど薬をもらってきてとか、一緒に何か買ってきてあげよう、という時にも使えるんじゃないのかなと思っています。

店長:国や都や自治体に援助を求める「公助」の場合には、時間が非常にかかりますからね。習慣にして毎日、旗を出せばいいんですよね。

旗を出す習慣をつければいいんです。出ていればわかるし、出ていなくても気をつけなくちゃいけない。それを隣近所の人がやれば、いちばんいいのかなと思っています。その結果を、町会へ連絡してくれれば。

町会の活動

マスター:町会の活動についても教えてください。

町会ができて55年くらい経ちますが、最初の町会長がやった事業、例えば、消火訓練とか交通整理、夜間パトロール、これを今まで欠かすことなく、ずっと続けているということが、私の誇りなんですよ。継続こそ力なりということですね。防災訓練とか避難訓練とか増えていきますが、これらも含めて欠かさずやっていきたいですね。形式的にやろうとすると途中で飽きてしまうので、何か面白味を出さないといけないと思っています。例えば、子供祭りとか盆踊りも、ただやるんじゃなくて町会で何かを販売しようとかいろんなことを考えています。それによって若い役員の人も来てくれるんじゃないかなと。

水害に備えて、町会でボートを所有

マスター:水害のことを考えて、中川さんの町会ではボートを置いてあるそうですね。

私は昭和22年のカスリーン台風を体験していて、その時は葛飾区が全部水没して、2メートルくらいまで水が来ました。葛飾区は当時からもゼロメートル地帯で、水がはけない。歩けるようになったのが2週間後で水がなくなったのは3か月後くらいでした。昔は2階建てもほとんどなくて平屋の屋根の上に避難しましたが、食糧を取りに近所で1艘くらいある“いかだ”で行ったんです。その頃は家もまばらでしたが今はその100倍くらいは家が増えているので“いかだ”では配れない。それで、最初は手漕ぎボートを買いましたが、なかなか動かず大変で、エンジン付きのボートを買って、訓練しました。ただ練習するだけでは面白くないので、荒川をさかのぼって秋ヶ瀬の方まで1泊で行ったこともあります。川から景色をみるのも大事だし、操縦もうまくなる。そこまで逃げなきゃならない時もあるかもしれないと、地震の時などでは川は利用できるだろうということですね。

「東京防災隣組」として認定

マスター:防災対策が素晴らしいと、「東京防災隣組」に認定されたと聞きました。

今言ったこのボート、これをうちの町会でやりまして、NHK か何かで放送されて、そんなことをやっているところはどこにもないということで、「海抜ゼロメートル地域における水防対策」が評価されて、(平成27年、)第1回目の認定を受けました。

 町会の活躍を知って欲しい

マスター:最後に、聴いている方にメッセージをお願いします。

町会が何をやっているのかわからないという人が多いですが、それはテレビだとかで町会の活躍がひとつも出てこないから。出てくるのは見ていてハラハラするような、ヘリコプターで釣ったり船で運んだり。あれはもう町会の人たちがやっちゃった後の仕事なんですね。それを見て、助けてくれるのは自衛隊や消防署だと思われていますが、実はその何十倍も動いているのが、町会=隣の人です。そのことをもっともっと知って頂きたいですね。

 

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かつしかFM「なかまで介護」

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