ゲスト:葛飾区医師会 地域医療部理事 いずみホームケアクリニックの和泉武彦院長 テーマ:人生100年時代!健康寿命で大切なこと かつしかFM「なかまで介護」第29回(2019年7月11日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

 

なかまで相談室

葛飾区高齢者総合相談センター東四つ木 社会福祉士の林順平さん
認知症で引きこもり状態の方やうつ病で 身の回りの事ができない方など同居されている ご家族が疲弊していまい、近隣トラブルも多いそうです。 葛飾区には40歳以上で認知症診断を受けていない方を 対象に、認知症初期集中支援チーム事業が支援をしています。 また、介護するご家族が集まり、今の悩みや思いを 一緒に語り合い、新しい発見や気分転換をはかる事を目的に、 高齢者総合相談センターでは認知症家族会 「さくらの会」を開催されています。

事例紹介①認知症で受診を拒否

マスター:最近の事例を教えてください。

認知症で引きこもり状態になっている女性です。3年ほど前にアルツハイマー型認知症と診断を受けたのですが、その後、自分は認知症じゃないと怒り出して、薬や病院の受診も拒否という形になってしまいました。

マスター:どういう対応をされているのでしょうか?

近隣住民とのトラブルやご本人の被害妄想も強くなって、家のことも上手にできなくなってしまい、同居のご家族が疲弊してしまっているということでした。葛飾区高齢者支援課の職員さんと相談して、去年の平成30年から設置された「認知症初期集中支援チーム」を利用しました。この事業は、原則40歳以上の認知症の疑いのある方もしくは認知症の方で、認知症の診断を受けていないとか、受けていても介護と医療が適切に繋がっていない方などを対象としています。

マスター:詳しく教えてください。

いずみホームケアクリニックさんがされている「認知症疾患医療センター」というのがありまして、そちらの先生と相談員さんや看護師さん、高齢者支援課の職員と各高齢者総合相談センターの職員が、医療や介護など、必要な支援について適宜対応を検討していくチームになります。

マスター:初期の段階で、医療も含めて的確な判断が入るというのは大きいですね。

この方もそうですが、かかりつけの病院がない方も多いので、チームで検討して、医療機関に受診できない場合にクリニックのお医者さんが自宅へ訪問してくれて介護保険の認定に必要な「主治医意見書」の作成も必要に応じておこなって頂ける場合があります。

事例紹介②配食サービスを利用して見守り

マスター:別の事例も教えていただけますか。

うつなどで外出できず、食事の準備ができなくなった女性についてです。ご家族は日中お仕事なのでお一人の時間が多い。ガスのつけっぱなしでご本人もご家族も不安になり、お料理ができなくなり、加えて好き嫌いがとても多いのでご家族の介護負担が大きいというご相談です。ご家族が支援できない場合、1食からでも葛飾区の配食サービスをと対応しました。

マスター:好き嫌いが多い方だと、(食事の)対応は大丈夫ですか。

協定を結んでいる14社のうち1社だけ対応できるということでした。その方の好みとか要望に応じて柔軟に対応してくれています。

マスター:お弁当の配達以外にもいろいろとやってくれるんですよね。

コミュニケーションを取りながら柔軟に対応してくれますし、届けた時にご本人がいないとご家族に連絡してくれるなど「見守り」と「安否確認」をしてくれますので、とても安心のサービスです。

家族会で交流

マスター:最後にPRをお願いします。

認知症の高齢者家族会「桜の会」は、認知症の方を介護するご家族同士が集まって今の悩みや思いを一緒に語り合う中で、新しい発見や気分転換、交流ができるという会です。必要な時は職員も同席して適宜アドバイスさせて頂いております。お話ができて本当に心が軽くなったという声を聞いています。

 なかまゲスト

葛飾区医師会 地域医療部理事 いずみホームケアクリニック 和泉武彦院長

医師会の役割

マスター:「人生100年時代、健康寿命で大切なこと」ということで、健康に関して、医療も含めて、どのような感じで医師会として関わられていらっしゃるのでしょうか。

医師会の中でも地域医療と言われる、現場の先生方の患者さんと一番接点の多い部門です。これからは医療と介護が両方ともしっかりと区民の皆様方の生活を支えていくことが重要ですから、その様々な職種の人たちとのやり取りなどもおこなっています。

 3つの健康の定義

マスター:「健康」っていろんな捉え方がありますよね。

そもそも健康って何だろうというのが重要です。病気じゃないということだけが健康ではなくて、WHO 世界保健機構が定義づけているのは、「肉体的に良い状態であること」、「精神的に良い状態であること」、「社会的に良い状態であること」。精神的に良い状態で気持ちが安定していて心が豊かで、社会の人と人との繋がりが本人にとって非常に満足のいく状態である、これが健康の定義になります。

店長:先生はこの3本柱の健康というのを重視して、患者さんと向き合っていらっしゃるということですよね。

健康寿命を延ばしましょうと言われますが、「健康とは何か」。最近は平均寿命を延ばすことが、延命の処置に変わってきています。健康をしっかりと保つことが重要であって、平均寿命を延ばすことだけが重要ではないということが分かってきています。

フレイルって?

マスター:フレイルについて教えてください。

最近言われているのは「フレイル」という概念で、健康寿命をしっかりと延ばしていきましょうということが言われてきています。フレイルを日本語に直すと「虚弱」になります。昔は要介護状態になったら介護保険を使って支えていこうと言われてきましたが、最近は要介護にならないような取り組みをいろいろとやっていきましょうということで、「健康」と「要介護状態」をちょうど繋ぐ場所にあるのが、フレイルの状態であるということです。

 マスター:イメージ的には、「予防」だと言われますが。

要介護状態になった方が健康になるのはなかなか大変ですが、フレイルの状態から健康な状態に戻ることは可能です。自分が今フレイルの状態であるのかないのか、もしあったとすれば何をするべきか。そういうことがわかると非常に健康状態を維持することができると。

マスター:認知症に関してもそうですよね。進行を遅らせるところに力を入れていく。

認知症はまだ原因が分かっていない病気だと言われています。要介護状態も一度機能が落ちた筋肉や骨の状態が良くなる治療はなかなかない。そういう意味では両方一緒です。そうならないような取り組みが、今の医学では一番重要な取り組みになってきます。

筋トレの方法

マスター:筋トレなんかも、フレイルの対策の中に当然入っていると。

フレイルがどういったものか考えますと、①筋力が落ちる、関節が痛むなど運動のトラブル、②外に出たがらない、行くのが面倒くさい、気持ちが沈んでしまうなど精神のトラブル、ここには認知症も入ってきます。③社会的な参加をしなくなってくる。この3つがフレイルの原因として挙げられています。その中で一番重要なのは、最後に話した「社会参加」です。社会参加ができない人が要介護状態になって、フレイル状態に陥る。統計を取ると、この状態が一番高いです。

 店長:男性にしてみると、第一線で働いていた人がパッと定年になりました。振り返った時に、地域を見ていなかった、出て行けない、となる。

男性の方は会社のつながりは持っていても社会とのつながりは持っていない。ですから様々な会に行くとほとんど女性ばかりで、男性の方が少ないということはよくありますね。

マスター:先週、『シニアを元気にしよう』をキーワードに活動している葛飾アクティブ. com さんに出てもらいましたが、やはり社会参加がなくなるのが大きいということでした。

対策としては、運動は「しっかりと筋トレをしましょう」、精神的には「気持ちを安定した生活を送りましょう」、そして「社会活動をしっかりと行いましょう」。この3つが重要です。

マスター:筋トレは若い人がやるものだと、年齢のいった方がよく言われます。

一度落ちた筋肉を回復させるのに使うのが「リハビリ」で、元気な方がこれからまだまだ元気に頑張っていこうというのは「筋トレ」です。どんなに年をとっても、筋肉はついていくということが言われています。筋肉は年齢関係なく成長していきます。

店長:腹筋とかバーベルを持つとかじゃなくて、ちょっとスクワットしてみようとか。

体の中でいちばん筋肉量が多いのは太ももで、一番効果があるのはスクワットです。筋肉は一回壊してから修復すると今まで以上に太くなります。週に1回、多くて2回ですね。

メッセージ

マスター:最後にきょうのまとめとメッセージをお願いします。

区民の健康は我々にとっても大切な課題です。医療と介護がしっかり連携して、皆さまの生活をサポートしていく。健康を保つためにはフレイルに注意して、運動、食事、社会生活を充実させていくことが重要です。とりわけ地域でご活躍されることは健康を保つ秘訣です。

 

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