かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!
このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。
なかまで相談室
高齢者総合相談センター水元 重原さん
マスター:昨年10月スタートの時に来て頂き、今日は2度目のご出演です。
ついこの間テレビで「中高年の引きこもり」というのがやっていて、60万人以上の引きこもりの方の中で8割近くが男性だということです。そこで今日は、高齢者の問題として事前の予防も含めてみんなで共有できたらということで、特に男性に関する事例を教えてください。
私がお手伝いした方は、アパートで一人暮らしをしていたおじいちゃんでした。最近見かけないけど何か困っていることがあるんじゃないかと、アパートの不動産会社の方から連絡があって、一緒に行かせて頂きました。葛飾区では「見守り協定(葛飾区高齢者等の見守り等に関する協定)」というのを作っていて、コンビニや郵便局、配達の会社などと協力して高齢者総合相談センターに連絡してくださいというお話をしています。
マスター:これいいですね。身近なところで気をつけていてくれて、見守ってくれるということで、不動産屋さんから連絡があったんですね。
部屋の中から声がするもドアが一向に開かないので、不動産会社の方が合鍵を使って中に入ったら倒れていました。意識はあってお話はできたので、すぐに救急車を呼んで、救急隊の方に病院に運んで頂きましたが、肺炎と脱水症だったんですね。
マスター:その時倒れたということじゃなくて、何日か経っていた可能性もあるんですね。
ご本人も2、3日という風におっしゃっていました。そういう風にならないように、私たちも「見守り協定」で支援をしていくということです。
マスター:葛飾区の取り組みとしてどういったシステムがあるのか、教えて頂けますか。
まず、一人暮らしや高齢者だけの世帯はリスクが高いということで、「かつしかあんしんネット」というものがあります。事前にご自分の緊急連絡先やかかりつけのお医者さんを登録して頂いて、それを区役所と民生委員さんと高齢者総合相談センターで保管するという仕組みです。
マスター:高齢者総合相談センターに連絡を入れて、「かつしかあんしんネット」に登録したいと言えば、手続きは全部教えてくれて、やってくれるということですね。
民生委員さんにお願いしても大丈夫だと思います。
マスター:他にもありますか?
あとは「見守り型緊急通報システム」と言って、電話線に器具を取り付けてインターホン越しに警備会社の方とお話できる仕組みがあります。家の中で24時間動きがない場合、生活リズムセンサーがそれを感知して、自動的に警備会社に連絡が行くもの。合鍵を預けておくのですが、来てみて具合が悪ければ救急車を呼んで頂ける仕組みになっています。
マスター:お互いに助け合う、いわゆる自助とか公助は大切ですよね。
やはり退職して孤立する男の人がとても多いので、町会とか民生委員さんとかもすごく気にされています。できれば町会に加入して、地域のイベントに参加したり、回覧板で情報を得たり、ご自分でも孤立しないようにちょっと努力してもらったらいいかなと思います。
マスター:「葛飾区シニア活動マップ」についても教えてもらっていいですか。
地域でいろいろな活動が行われていますが、今まであまり目に見えていなかったので、それを私たちが調べて、マップを作りました。皆さんにお配りする準備をしているところです。
マスター:シニア活動マップを見ながら、地元のいろいろなところに行って頂きたいですね。
なかまゲスト
葛飾区の民生委員の小林会長、福田副会長
民生委員とは?
マスター:まずは民生委員の組織や歴史のようなものを分かりやすく教えて頂けますか。
小林:民生委員というのは、社会奉仕の精神をもって常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行うことにより社会福祉の増進に努める。それが民生委員法第1条に定められています。身分上は東京都の非常勤職員、特別職の公務員ということになります。職務に対する対価を欲するものではなく、簡単にいうと無償のボランティアですね。任期は1期3年で、今年の11月まで。12月には一斉改選があり、また新規の3年になります。民生委員が児童委員を兼ねるということが児童福祉法第16条で定められておりますので、「民生委員・児童委員」と呼ばれていることが多いです。
マスター:区民の高齢の方もそうだし、それこそ子供たちからお年寄りまで。
小林:赤ちゃんから子育て中のお母さん、高齢者と言いますかね。葛飾区はおかげさまでそういった問題はないのですが、児童虐待の問題というのはやはり大きな課題の一つとなっています。
民生委員の活動について
マスター:「なかまで介護」ということで、高齢の方のお話になると思いますが、葛飾区の中での民生委員さんたちの具体的な活動を教えて頂けますでしょうか?
小林:全体としては3年に1度、国の調査に協力するという形で、民生委員が自宅を訪問して、65歳以上のひとり暮らしと75歳以上の高齢者だけの世帯の高齢者実態調査を行っています。また、この調査に合わせ、「かつしかあんしんネット」の書類をお渡しし、よかったら登録してくださいとお話ししています。最終的に高齢者支援課から高齢者総合相談センターとそれぞれの地域の民生委員の方に必ず控えが来ているという形になります。
マスター:区からの依頼で、エリアごとに民生委員さんが3年に1回調査して、高齢者の方がどこに住んでいるなどの情報を持っているということですね。
小林:中には調査を拒否する方もいらっしゃいますので、必ずしもというわけにはいきませんが、なるべく調査には協力して頂きたいとお願いするしかありません。
マスター:でも一軒一軒、見守りではこういうのがありますと教えてくれる。それがきっかけで、じゃあ心配だったからという方もいらっしゃいますよね。福田さんは青戸4丁目地区をご担当されているということですね。
福田:青戸4丁目の第2公団が重点的になって、その周りの中青戸町会も少し含めてあります。
葛飾区の現状
マスター:地域で何か所くらいに分かれているのでしょうか?
小林:葛飾区全体では19のエリアに分かれていて、その中でそれぞれ担当しています。私は青戸地区の会長も兼ねていて、青戸八丁目を担当しています。
店長:お一人の民生委員の方が関わっている人数というのは大体どれくらいですか。
小林:だいたい東京では500世帯から1,000世帯ですね。と言っても問題がなければ何もないんですよ。地区によってそれぞれ違いますが、一人暮らしの高齢者が多い住宅などがありますと、数が少なくても回らなければいけない、見守りをしなければならないという数は増えますよね。
福田さんご紹介
マスター:福田さんは表彰されたことがあると聞きましたが、内容を教えて頂けますか。
小林:昨年秋の叙勲で瑞宝双光章をお受けになりました。地区の会長で30年やられる方であれば何人かおられますが、副会長ではおそらく初めてと言われています。葛飾区で民生委員が400人ちょっと、東京都で1万人、全国で23万人いらっしゃいますが、福田さんはその中で43年、全国で一番長く活動されているということがたぶん評価されました。東京都は全国の中でも大変年齢要件が厳しいため、80歳台の民生委員というのはいません。その中で40年以上の民生委員というのは奇跡に近いことなんですね。
マスター:民生委員になったきっかけを教えて頂いていいですか。
福田:今は本当になり手がなくて困っていますが、私が民生委員を受けた年はお年寄りで5人ぐらいやりたいという方がいらっしゃいました。ただ、会長が年寄りばかりはよくないということで。私は事務局として小さい子供を連れていつもその会議に参加していたので、若い人と言ったら私しかいませんでした。29歳で手続きをして30歳で引き受けたということですね。
店長:若い世代の人たちがいろんなことに関心を持ってもらうというのは大切ですよね。
福田:最初にお話しましたように、民生委員は児童委員も兼ねていて、高齢者まで見ていますので、それに対応するためには民生委員の方が高齢者ばかりで偏ってはいけないのかなと思っています。今はなるべく年齢がバラバラの方がいろいろな意見が出てきて対応しやすいという感じはしていますね。
事例紹介:高齢の男性
マスター:団地の中で相当世帯数があると思いますが、高齢の方に関する事例を教えてください。
福田:普段気にしているのはやはり男の方ですね。一人暮らしでいつも人が出てくると消えちゃう、途中から大きな帽子をかぶって顔がまるっきり見えない状態でした。そばにいたら後ろを向いて行ってしまいますが、私が2階から見ている分には本人の顔は全然見えません。だから安心して外に行くのですが、年中見ている顔だから、こちらはわかっています。
マスター:出られた時にお話はできたんですか?
福田:その時にはできました。普通の会話ができたので感じのいい人、退職されたばかりだというのも感じました。それ以後は一言もお話ができていません。玄関も開けなくなったみたいです。
マスター:何かその後で介護でお困りになるなど、あったのでしょうか?
福田:その方は定期的に前を通るので、会ったら大丈夫という感じで見守っています。うちの団地の中には一人暮らしの方たくさんいます。私が感じているだけで10人くらいはちょっと心配かなという感じの人がいて、実際には50人くらいいるのではないかと思っています。
マスター:もし何かあれば、それこそ高齢者総合相談センターと一緒に行って頂くとか、そういう活動や声をかけたりされているということでしょうか。
福田:何かあると必ず夜中でも昼間でも時間に関係なく、近所の方から情報が入るんです。
民生委員は信頼のかたまり
マスター:ご本人じゃなくてご近所の方から福田さんにかかってくるんですね。福田さんみたいにエリアの中でのキーパーソンみたいな方がいるから、あの人がいれば何とか繋いでもらえると。それが民生委員さんの信頼だったり、仕事だったりなんですね。
福田:そういう仕事をさせてもらっているということは、ありがたいですよね。
店長:福田さんが生き生きとされているのは、そうやって人と関わっているからなんですね。
福田:関わっていかなきゃいけないと思っています。だから毎日出るようにしています。
マスター:これだけ長く、ましてや多くの方がいらっしゃる中で、お一人でやられているとかなり大変な部分もあると思いますが、何か要望ですとか思っていることはありますか?
福田:ないですね。本当に気持ちよく、あの人大丈夫かしらとかこの人どうかしらとかと情報が入ってくるので、即動けるんです。
マスター:今までの福田さんの積み重ねの信頼度があるから繋がってきているんでしょうね。
小林:そうですね。新人の民生委員だといきなり開けても入れてくれませんからね。
声がかかった時にはぜひ引き受けて
店長:これを継続させていくには第2、第3の福田さんを作って行かなくちゃならないですね。
マスター:その辺りで何か PR 的なものがあれば。
小林:民生委員のなり手不足は全国的に問題になっています。葛飾区も404人の定員数に対して4月1日現在で391人と、欠員があります。全国でいちばん欠員が多いのが沖縄県、ワースト2は東京都です。今は候補者を探すのが大変で、区内はほぼ自治町会の推薦になっています。
マスター:自分が属している地域の町会長ですね。その辺にまずお声かけするということですね。
小林:今はその逆で、町会の役員さんの方から、「民生委員に推薦したい」と話をふるんですが、出来ないという方が多いので、声がかかった時にはぜひ民生委員・児童委員を引き受けて頂きたいというのが、私の気持ちです。
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