ゲスト: 葛飾区医師会からいずみホームケアクリニックの和泉紀彦先生 テーマ:認知症とかかりつけ医 かつしかFM「なかまで介護」第14回(2019年2月14日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

 

 なかまで相談室

葛飾区高齢者総合相談センター新小岩 村山政隆さん

【相談事例①お家で倒れて動けない】

マスター:最近の相談事例をいくつか教えて頂けますでしょうか。

姿を見かけないけど大丈夫かと近所の方が心配されて、民生委員さんに相談をしたケースです。民生委員さんと一緒にその方のご自宅に伺ったところ、こたつの横で動けなくなっていました。お話を聞くと、数日前にこたつのコードにつまずいて転倒されて、横になっていれば治るかなと思っていたらだんだん痛みが酷くなって困っていたという状況でした。ご本人の了承を得て、救急車を呼んで病院に搬送させて頂きました。この方はお一人暮らしだったのですが、「かつしかあんしんネット(見守り・安否確認システム)」に登録されていたので、遠方でしたがご家族の連絡先も確認でき、無事入院されて治療に専念されているところです。

マスター:これ、もし訪ねていなかったら、どうなっていたかわからないじゃないですか。

高齢の方はどういう状況になっても救急車を呼ぶことをためらうとか、そのことを思いつかない方もたくさんいらっしゃるんですよね。

マスター:申し訳ないとか迷惑かけちゃうとか思っちゃうんですよね。

そこに誰か第三者が入って支援をすることによって、ちゃんと病院にかかることができるとか、そういうことはたくさんあります。

マスター:心配だという方は、「かつしかあんしんネット」に登録しておけば、自分が言えなくても探してくれる可能性があるということですよね。この方は、その後の段取りとか手続きとかも進められているんですか。

まだ入院中ですが、これから介護保険の申請のお手伝いをさせて頂いて、自宅に戻っても安心して生活ができるようにこちらで支援していきます。

【民生委員さんとの連携】

マスター:他になにかありますか。

(私たちの担当)地域に住んでいる方はたくさんいらっしゃいますが、今の方も私達は面識が全然ないわけです。でも民生委員さんはお顔がわかっているとか地域でずっと活躍されている方たちなので、そのツテで私達も入り込んでいけるということはあります。逆に、民生委員さんたちもなにか困ったことがあったら私達のところに来て、一緒に地域の方を見守っている状況だと思います。

マスター:民生委員さんって前々から地元に住んでいたり、貢献されていたりする方なので、町会などに所属していてそこから推薦を受けているから、地元にかなりネットワークがありますよね。民生委員さんに入って頂けると一気に深い繋がりができるんですね。

【相談事例②認知症を疑う】

マスター:他にも事例はありますか。

最近はご家族からのご相談が多くなっていて、自分の親がもしかしたら認知症ではないかというものです。お医者さんに行って専門の先生に診てもらいましょうと言っても、認知症ではないと親御さんたちが怒り出して、なかなか受診につながらなくて困っているというケースが増えています。どうしたらいいかということで、葛飾区のいろいろな相談会とか認知症のサポートがたくさん行われていて、来週も高齢者総合相談センター奥戸で、細田診療所の赤畑先生に来て頂く、「もの忘れ相談会」がありますので、そちらでご相談頂きます。

マスター:これを機会に連れ出すといいですね。

葛飾区内でも小中学校でたくさん「サポーター養成講座」を受講して頂いています。認知症にかかった方がどういう気持ちでいるのか、介護されている家族の方はどういう思いでいるのか、ということを詳しく知りたいということでしたので、明日は小学校5年生のクラスで「認知サポーター養成講座」を開催します。

マスター:小学生も認知症の知識を持ちながら接していく機会を増やしている。おじいちゃんおばあちゃんの気持ちがどういう状態なのかを伝えるのは大切なことですね。そういうのがわかると、じゃあこうしてあげようという素直な行動が出てきますよね。

店長:教育としてすごく良い取り組みですよね。お歳を召した方を理解して、いずれ自分も歳をとる実感を早い段階から(知るということ)ですね。

なかまゲスト

葛飾区医師会 いずみホームケアクリニック 和泉紀彦先生

葛飾区内の高齢者と認知症の人数

マスター:いずみホームケアクリニックは葛飾区の認知症疾患医療センターに指定されています。早速ですが、葛飾区の認知症の現状などを教えて頂けますでしょうか。

まず質問ですが、葛飾区の高齢者(65歳以上)は何%くらいいらっしゃると思われますか。

マスター:25%くらいじゃないでしょうか。

素晴らしいです。25%、4分の1ですね。その中で認知症と言われている方の人数は?

店長:10%くらいでしょうか。

素晴らしいです。1万6千人くらいと言われています。今後、10年20年で2万人、2万5千人と増えていきます。本人にとっても家族にとっても、身近な病気になっています。

 認知症は診断が難しい

マスター:認知症については、関係ない話だと思わないほうがいいですね。

身近なことなので、気にしないで公にしていいかなと思います。認知症は診断が難しくて、もの忘れひとつとっても、少し動けなくなってきた、少し怒りっぽくなってきたということでも年齢とともに出てくることもあれば、認知症かもしれないし、診断がまず難しいです。

マスター:診断するドクターたちも大変ですね。

私達の認知症疾患センターとか病院の外来に受診して頂ければいいのですが、認知症(の診断)を受けに行くということがなかなか難しいですね。

 「もの忘れ予防健診」について

店長:一度健康診断しておこうよって、連れていきました。

それはすごくいいことで、それがきっかけになることが多いですね。区と医師会の方でも、葛飾区が東京都の中でも先駆けて行っている「もの忘れ予防健診」というのがあります。認知症は早く見つけることが非常に大事ですが、その中で68歳~72歳になられる方に受診してくださいと連絡が行きます。この70歳前後で見つけられることが、その後の生活や、認知症かもしれないという改善につながることもあります。

マスター:早期発見がとても重要と言われていますよね。

店長:確かに80歳近くになってくるとちょっと体に不具合が出てくるけど、この68歳~72歳という、首から下が十二分に動くというこの時に発見されればいいですね。

マスター:予防も自分の力で頑張れることも可能性が強いしね。

今年からは75歳の方も対象にしています。75歳というのは保険も切り替わるひとつの節目でもありますので。

マスター:後期高齢者という75歳がひとつ位置づけですよね。

人生100年時代ですから75歳はあと4分の1ですね。健診を受けて頂きたいのと、そこで心配だった場合には医療機関に行って頂きたいと思います。

マスター:まずは行ってみて診断や何かして頂いて、その後はどうやって進んで行きますか。

地域の連携が大事ですので、「もの忘れ相談会」への参加や、もの忘れ外来がある病院を受診して頂きたい。そうなるといろいろと手を差し伸べることができるんですが、受診をしたくないとか、家族が関心をもってくれない方をどうするか、非常に問題になっています。

まずご相談を

マスター:歳相応だからと、ついつい簡単に見てしまう場合も多いですよね。どうすれば?

もちろん医療機関や認知症疾患センターの方にも相談して頂きたいですが、実は一番多く相談されている場所が「高齢者総合相談センター」で、すごく大変な思いをして中心になってくださっています。それと葛飾区がとても熱心で、「認知症初期集中支援事業」というのがあって、すごくバックアップしてくれています。

認知症初期集中支援事業とは?

マスター:「認知症初期集中支援チーム」について教えて頂けますか。

相談できないで家の中で閉じこもっていらっしゃる方を見つける、相談があれば受けていくということが必要だと思います。高齢者総合相談センターの方やケアマネジャー、認知症疾患センターの医師や看護師、区の方も一体となって、病院に連れて行くにはどうしたらいいかなど、一緒に考えて頑張っていこうというチームです。

認知症は医者だけで対応できるわけではないので、いろいろな職種の方が力を合わせて取り組んで行くのが一番良くて、そのきっかけとして作られました。

マスター:「なかまで介護」の趣旨と一緒で、医療、介護、地域など関連したみんなが集まって伝えていこうということですね。どのような方が対象になっているのでしょうか。

年齢は40歳以上からです。若年性といわれる認知症の方のほうが逆に医療機関にかかっていなかったり、発見されにくかったりします。認知症が疑われて自宅で生活をされている方が対象になりますが、サービスを受けている方でも、いろいろな症状でご家族や周りの方が困っている、でもどこに相談していいんだろうという場合でも、この支援チームを作って対応することが可能です。

マスター:高齢者総合相談センターに電話をかければ、そこからすべてがスタートしていくんだということはぜひ覚えて頂きたいですし、周りの人にも教えてあげて欲しいですね。

マスター:みんながまとまって、チームで支え合ってくださるということですね。

医療につなげることが非常に大事で、介護につなげるためにも医師の意見書が必要で、それがないと介護サービスが始まらない現状があります。医師がすぐに書ければいいんですけれど、風邪や血圧しか診ていない先生もいて書けないことがあります。その中で、認知症は病気を治すだけではなくて、生活など全般的な人生の一部までもみなければいけません。

かかりつけ医を持ちましょう

マスター:人として生きていく全体を支える。医学だけでなく生活すべてを支えるんですね。

そういう医師を国の方で「かかりつけ医」というんですが、かかりつけ医の定義は何かとよく言うと、「近くにいて気軽に相談ができる」、「どんな病気でも診る」ということです。専門(の病院や診療科)があるのでこれはちょっと難しいですが、どんな病気かある程度つかめればいいと思います。最も難しいのが「いつでも診る」ということです。あとは疑問点を納得いくまで説明してもらえるか、必要な時に適切な医師を紹介してもらえるか。かじ取りをするのが「かかりつけ医」です。どうやって見つけるかよく聞かれますが、認知症では特に「かかりつけ医」が大事です。それを持つことで今後きちっと生活ができると思います。

マスター:「うちは専門外ですから」ではなくて、それならこちらはどうですかと踏み込んで頂けることが大きなポイントかもしれないですね。

店長:健康でも10年来通っている病院がありますが、そういう若いうちから診ていただいている先生は、性格とか体質もわかっているのですごくいいと思います。

マスター:他にも伝えておきたいことはありますか。

合う、合わないもあると思いますので、かかりつけ医を見つけるのに時間がかかってもいいと思います。その中で、いろいろと聞いてくれる人をぜひ見つけて頂きたい。認知症になった時でも安心ですし、家族の方も気が楽になります。そこがスタートラインかと思います。

マスター:和泉ドクターは、私が介護に関わるきっかけとなった父親の最期を看取って頂くなど、お世話になったドクターです。いろいろなことを教えて頂いたので家族も安心して看取ることができました。みなさんも、時間がかかってもいいので、相談できて安心できる、かかりつけ医を探していきましょう。

 

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