ゲスト:葛飾区医師会訪問看護ステーション 高木所長・寺嶋さん かつしかFM「なかまで介護」第94回(2021年11月18日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1・3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

なかまゲスト

葛飾区医師会訪問看護ステーション
(所長、看護師)高木 ますみさん・(介護支援専門員)寺嶋 理香さん

訪問看護ステーションの概要

マスター:葛飾区医師会訪問看護ステーションの概要を教えてください。

高木さん)当ステーションは京成線立石駅から徒歩約10分、区役所前からドン・キホーテに向かって立石さくら通りを歩いた浅田屋さんの角を右に曲がった場所にあり、1995年10月に葛飾区医師会の会員の先生方によって設立、今年で27年目を迎えます。葛飾区医師会の中の訪問看護部門という位置づけで、以前は同じ建物内にあって5人で始めたのですが、手狭になり今の場所になりました。毎日行き来しています。現在は看護師10名、専任ケアマネージャー(ケアマネ)2名、事務員1名の計13名が在籍し、「信頼、安心、笑顔」をモットーに24時間365日体制で活動しています。居宅介護支援事業もおこなっています。

サービス内容・特徴について

マスター:具体的なサービス内容について教えてください。

高木さん)訪問看護は、在宅のまま療養中の方へ主治医の先生やケアマネさんと連携しながら、看護師による訪問看護をおこなうことで、利用者の生活の場にお邪魔しての提供で、看護は元々がチームケアですが基本的に看護師ひとりで訪問します。病院と違い、医師のいない中で先生の指示書に基づいて看護を提供します。医師やケアマネ、介護職との連携も不可欠です。これらが特徴になっています。

 

店長:義理の両親を介護している時に助けになったのは訪問看護師さんでした。顔色を見て「時間は取れていますか?」とか、支えている家族のことまでちゃんと看てくれる。一人で抱えるのはとても無理なので、そういう時にこういう方がいることを知って欲しいですね。

サービス提供の対象

マスター:対象になる方は?

高木さん)赤ちゃんから高齢者まですべての年齢の方で、主治医が必要と判断した方。指示書がないと訪問できません。

マスター:高齢者(介護保険)だけじゃなく、医療保険でもできますよね。

具体的な内容について

マスター:具体的な診療の補助内容を教えてください。

高木さん)大きく分けると2つの役割がありまして、ひとつが「診療の補助業務」です。

おしっこの管だとか点滴、胃ろう、在宅酸素、吸引などの医療処置、病状観察を先生に報告して指示を仰いで情報共有して、日々問題が起こらないよう、生活が継続できるようにするお仕事です。もう一つは「療養上のお世話」。これは主治医の指示がなくてもできるもので、身体をきれいにしたり、食事や排泄のお世話、療養の相談、環境を整えたり、栄養・睡眠・排泄・内服の管理、精神面のケアもしています。人間の生きる上で大切なものとして、ちゃんとご飯が食べられて、出るものが出て、よく眠れて、薬を飲めているか、この4つができていれば何とか生活できると言われています。

マスター:申し込みの流れはどのようになっているのでしょうか。

高木さん)利用者やご家族から直接お問い合わせいただくほか、ケアマネさん、主治医、退院を専門にする看護師さん、高齢者総合相談センター相談窓口からの依頼などもあります。

コロナ禍での訪問看護

マスター:コロナで大変だったと思いますが、状況や対策などいかがでしたか。

高木さん)新型コロナウイルスという見えない敵と戦うべく、日々、求めと必要に応じて、変わらず訪問は継続していました。事業所においても、出勤時間をずらしたり、お昼を車の中で食べたり、密を防ぐため、寒くても1日中窓を開けっぱなしにして空気清浄機を2台置くなどしていました。

マスター:職員さんもご自宅に戻れば一人のお母さんだったりお父さんだったりするから、そのあたりの苦労もあったのではないですか。

高木さん)感染の脅威や不安は当然あったのですが、確かな知識を持って「正しく恐れる」をキャッチフレーズに敢えて完全リモートにはせず、日々新しい情報や知識をみんなで共有して語り合うというスタンスを変えなかったことで、精神的にもどうにかチームで乗り越えられた感じがします。受け入れ側も特に拒否とかはなく、基本的にフェイスシールド装着を徹底して訪問して発熱があったら完全防護して訪問するなどルールを決めていたので、それを利用者様にあらかじめ話しておいて。現在もフェイスシールドは継続しています。

東京都の陽性者委託訪問事業

マスター:東京都の訪問看護事業にも協力されていると聞きました。

高木さん)陽性者の大幅な増加で自宅療養者が増えたことで、保健センターがおこなう健康観察業務を東京都訪問看護ステーション協会に業務委託して、訪問看護師が自宅療養者の健康観察をおこないました。例えば、病状観察だったり、サチュレーションの機械を届ける仕事だったり、安否確認だったり、医師の指示書が出た場合には点滴もおこないました。

今後のコロナ対策

マスター:今後のコロナとの向き合い方についてはどのように思われていますか。

高木さん)ワクチン摂取率が上がって、3回目のワクチン接種が浸透し、これからも換気とマスク、手洗いやアルコール消毒を続けていれば、ある程度、感染は抑えられると思いますが、今後も第6波に向けて行政と連携していきたいと思います。

ケアマネージャーの仕事内容

マスター:ケアマネさんの基本的なお仕事の内容を教えてください。

寺嶋さん)介護が必要となった方に対しての支援になるのですが、例えば転倒されて日常生活に支障が出てしまったとか、ちょっと物忘れが増えたので認知症かもしれないとか、そういった不安がある方に対して、ご家族もしくはご本人から介護を受けたいとおっしゃられる方々のところにご相談に参ります。介護申請の代行手続きもいたしておりますので、その結果、介護度が要支援1という一番軽いものから要支援2で介護度1、2、3、4、5と7段階に分けられ、その介護度によって受けられるサービスがいろいろあります。

マスター:受けられるサービスの計画を立ててくださるということですね。

寺嶋さん)ご本人やご家族が望む生活を在宅で続けていくためには何が必要かをご相談に乗りながら、ケアプランを立てていきます。

マスター:自宅で介護をされている方はプロじゃないから何をしていいかわからないし、何を頼んでいいかも分からない。寺嶋さんのようなプロがマネージメントしてくれると安心できるので、ぜひ専門家に相談して欲しいよね。

寺嶋さん)「今までできた事ができなくなった」とか「ご家族の負担が増えてちょっと大変」とか思い始めた時は高齢者総合相談センターに、また、入院する時などに、先生から介護申請が必要と言うお話があった時には気軽にご相談していただければと思います。

医師会の事業としての特徴とメリット

マスター:こちらは医師会さんが始められた事業所なので、特徴があるような感じがします。

寺嶋さん)他のケアマネ仲間に聞きますと、割と医師会(訪問看護ステーション)の利用者の方は医療依存度の高い方が多く、介護度も高い方が多いとは聞いています。先生や訪問看護師さんとの距離が近いので、情報が本当に密に早く詳しく入ってきます。また、先生との距離感を縮めるのが難しいとよく聞きますが、比較的、私どもは恵まれたところで仕事をさせてもらっていて、看護師を通して先生のご意見を聞けたり、直接、先生とお話しできる機会を持たせていただいたりしています。ケアマネをやる前はヘルパーでしたので医療的なところは理解できないことが多かったのですが、身近にそういった医療従事者がいることで、日々状況が変わってくるのが電話をしなくても耳にどんどん入るという状況です。

マスター:コロナがあったので、計画を立てるのも大変だったのでは?

本来でしたら関係者同士で集まって利用者さんの病状だけでなく生活全体を把握した上で随時ケアプランの変更を考えたり、ご家族の相談に乗ったりしなければいけないところを、電話だけで情報を得るとか紙面でサービス状況を教えてくださいとなってしまうと生きた情報が伝わってきづらい。この1年半~2年程は接触を避けながら「ご本人の様子」を把握するのは難しかったですね。

マスター:データだけじゃない。ベッドなのかお布団なのか、今キッチンがどうなっているのかとか、ひとりひとり環境が違う。オンラインとかではどうにもできないよね。やはり実際に行って接してみないと伝わってこないものがあるから大変だよね。

店長:古いかもしれないけど、「手当」というのは「手を当てて」ということですよね。オンラインもこれからの時代には必要だけど、看護師さんが「手を当てる」、そういう医療はなくしたくないですね。

介護をしているご家族の様子

マスター:利用者さんのご家族と接してみて、思うことなど教えてください。

ご家族のストレスがすごいですね。コロナ禍で介護をしていて、ご家族の発散できる場所がない。本来なら田舎に帰ってご自分の両親に会いたいとかご兄弟の顔が見たいと思っていても、コロナ禍では東京の人間が地方に行くということはやはり拒まれることも多いので、なかなかご自分がホッとできる場所に帰ることができずにいます。

マスター:ショートステイをお願いして田舎に帰ることもできないし、デイサービスもクローズしているところがあるなど、ご家族の方もストレスがたまっているんですね。

ご本人も外に出ることを遠慮していると、家の中でご家族と密の状態でいます。ご家族だけで日々の介護が進んでいくような家庭もありますので、感染予防に気をつけながら、デイサービスもショートステイも積極的に少しずつ再開していただけたらと思っています。

マスター:目に見えないストレスがたまるとか、体力も筋力も落ちて転倒なども気にしなくちゃならないので、注意しながら日常の生活に少し勇気を持ちながら出ていくって言う、それを取り戻していかないとね。

ちょっとしたお困り事もご相談いだきたい

マスター:大変な思いを日々されていますが、そういう中でもきっとやりがいとか心がけを持たれていますよね。

気軽に相談してもらって、利用してもらいたいと思っています。ケアマネージャーって最初に介護をコーディネートして、福祉用具やデイサービスやヘルパーさんやショートステイ施設などを紹介するだけの人ではありません。その方がどうやって生きていくのか、今後ご家族とご本人とで最後までその方らしく生きていくためにはどういう方法が一番いいのか、ちょっとした困り事があったら相談に乗りたいと思っています。

今後の予定や目標

マスター:今後のご予定や目標を教えてください。

高木さん)年末にプラチナナースの仲間入りをします。私を必要として下さる方がいらっしゃる限り、まだまだ現役を続投させていただきます。今は若返りのサプリメントを飲んでいますし、ラジオ体操の指導員になるため(の研修も)開始しています。サービス事業者協議会の運営委員にもなったので、そこでも活動をしていきたいと思います。

寺嶋さん)利用者さんを支えていくのは、自分が元気じゃないと余裕がないとできませんので、健康に気を付けながらこれからも仕事を続けていきたいと思います。

※プラチナナースとは、積み重ねた知識や熟練した看護技術、その経験を活かして定年後もキャリアを継続する看護師さんのこと。

 

介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
ぜひ番組までメールください。

かつしかFM「なかまで介護」

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