ゲスト:わたクリニック 渡邉院長、訪問看護ステーション 高木所長 かつしかFM「なかまで介護」第47回(2020年1月16日放送分)

  かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!

このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。

なかまで相談室

高齢者総合相談センター東四つ木 小松さん

事例紹介①認知症の方にデイサービスをご紹介

マスター:事例を紹介して頂けますでしょうか。

70歳代女性で一人暮らしの方です。最近アルツハイマー型認知症の診断を受けた方で、近くの区に住む息子さんもとても心配していますが、ご家庭を持っているため、あまり頻繁には訪問できないということでした。生活のご様子としては、約束を忘れたり、同じ物を何回も買ってしまったり。元々体を動かすことが好きで、他にも手芸なども活発になさっていたみたいですが、認知症の影響なのか最近は家に引きこもりがちということでした。お家にお邪魔したところ、「考えと行動が一緒にできなくなった」とか「息子に申し訳ない迷惑かけたくない」と壁にたくさんメモが貼ってありました。

マスター:ご家族からのご相談だったのでしょうか。

最近の様子が心配というかかりつけの病院から連絡がありました。メモやご本人の話を伺って、やりたいことがあるのにできないもどかしさがあること、ご家族に負担をかけたくない気持ちが強いことがわかりましたので、息子さんにご相談、ご本人にも話をして、まずは介護保険を申請しました。認定が下りたので、元々好きだった手芸や裁縫など創作活動が活発なデイサービスに通うことができ、今も週2~3回通っています。センターで実施している運動教室にも通ってくださって、メリハリが出たと毎日楽しく過ごされています。

 事例紹介②見守り型緊急通報システムの設置

マスター:他の事例も教えてください。

80代男性の一人暮らしで、心臓の病気があってお家の中で一時的に意識を失った事がある方です。お近くに子供さんも住んではいるのですが、ご本人としては、また意識を失ってしまったらとか、急に具合が悪くなったらどうしようと不安に思って夜も眠れないというご相談でした。

マスター:誰から連絡があったのでしょうか。

心配したご家族からです。ご家族とご本人様とで相談をしまして、「見守り型緊急通報機器」を設置することにしました。これはお一人暮らしの高齢者の方向けに葛飾区が利用料の補助を行っているもので、緊急ボタンを押すと警備会社に電話が繋がって話ができたり、場合によっては代わりに119番通報してくれたりします。トイレのドアに設置して、トイレの出入りが24時間ないと自動的に警備会社に警報が送信される「生活リズムセンサー」も取り付ける事になりました。意識を失って緊急ボタンを押すことができず、そのまま誰にも見つけられなかったという状況を防ぐことができます。取り付けたことで、ご家族もご本人もとても安心されて夜も眠れるようになったと聞いています。

イベント紹介

マスター:イベントもご紹介ください。

介護をなさっている方向けに、「家族介護者教室」を企画しています。リンパマッサージで介護疲れを解消、セルフマッサージのコツなど、実技を交えて教えていただきます

なかまでゲスト

わたクリニック 渡邉院長、訪問看護ステーション 高木所長

在宅医療のクリニックを始めたきっかけ

マスター:まずは在宅医療を始められたきっかけを教えてください。

2002年に葛飾区で開業させていただきました。バイトで在宅医療の現場に足を踏み入れたときに患者さんのご家族から女の先生でよかったと、すごく喜ばれたことがあります。病院でそう言われたことは少なくて一生懸命できることをやっていましたが、在宅では奥さまが看ていることが多いですし、ご高齢の方でも家庭という場で介護を提供している場合においては女性の方がいいのかなという、そういう思いで少し気分を良くしてしまいました。

店長:ご自身も介護の経験がおありになって、ドクターで、妻であり、家族を持っている。いろんな視点からみられるのではないでしょうか。

医療というよりも、その方の生活を知りたいという思いで足を踏み入れるので、(例えば)お孫さんを大切にしているおじいちゃんおばあちゃんでしたら、「お孫さんもう大きくなられたんですか」みたいなところからから始めると、スムーズに入っていけると思います。

在宅医療の特徴

マスター:病院では、家の状況とか家族関係がわからないけど、在宅でお邪魔した場合には、本当にその辺はすごく肌で感じられますよね。

玄関の戸を開けた瞬間に飛び込んでくるその方の生活の有り様とか、大切にしていらっしゃるものとか、人生の先輩として関わらせていただいて、いろんなことを教えてくださることが多いですね。

マスター:葛飾区にずっと住まわれていたのではないですよね?

子どもの学校の都合で葛飾区に住むようになりました。隣近所やご家族含めて人と人との繋がりみたいなものを感じて、在宅医療に適している場所だと、開業した後に気づきました。いつも私が心を癒されているというか温かいものを感じながらお仕事させていただいています。

マスター:癌の患者さんからの依頼が多いと聞いています。

のんびりとお茶を飲みながら、足が悪くなったりして病院に通えなくなったご高齢の方々の所にお伺いできるのかなと思って開業しましたが、実際には癌の末期の患者さんのご依頼が非常に多く、「対応しなければならない、これが私の使命だ」と、求められて往診をお受けするようになりました。大学では緩和ケアの講座がなかったので、開業しながらがんセンターへ研修に行って学びました。「家(在宅医療)だからこの程度で大丈夫」ということがないように、病院と同じ緩和の医療が提供できるようにという思いで、一人ひとり診させていただいた結果がご紹介に繋がったのではないかと思います。

マスター:『さいごまで自宅で診てくれる いいお医者さん2020年度版(週刊朝日ムック)』の中でも数字上で日本で一番ですね。それだけ多くのお医者さんやご家族が、先生に診て頂きたいとか、先生にご紹介できたら、という積み重ねですね。

ありがとうございます。私に診てもらいたいというより、自分の病気が病院に行っても治らないと思った時に、家にできるだけいたいと皆さんおっしゃいます。「私は今から、苦しいとかつらいことを取る治療を行いますが、家にいたいですか、それとも病院に行きたいですか」と選択肢をお示しすると、「病院には行きたくない」とおっしゃるんですね。生活の場で最期まで生ききりたい、自分の人生を過ごしていきたいという思いが、そういう結果に繋がったんだと思います。

看取りについての考え

店長:認知症でいつどうなるかと家で介護するよりは、終末というか最後が見えている状況だと、ご家族も、最期を看取ってあげたいという想いは強いのかなと思います。

終わりに向かってみんなが手を差し伸べていくと、すごいエネルギーが出てくるんですね。ご家族も本当に一生懸命寄り添ってくださいますし、今まで疎遠だった方も逆に繋がりを求めて来てくださる。音信不通だった息子さんにご連絡した時に、そういう状況だったんだと戻ってきて、家族のつながりをあらためて認識して、ひとつの家族がまた出来上がっていくというのを目にしたことがあります。

 マスター:ご本人も自分の最期というものを感じてくるのでしょうか。

ご家族にはあと1週間とか3週間とかお話しさせていただくのですが、ご本人に1度もそういう話はしません。でもご本人は自分の身体の状況を良く分かってきて、「俺は長くない」とか「もう俺はダメだな」というのをご自分で悟られます。だからご家族への感謝とか、いろんな想いを伝えようとされますね。人というのは自分の死を悟るものだと思います。その中で、家にいたいとか病院には行きたくないとか、私たちにもご家族にもぽつぽつとお話しになりますので、それを支えて、最後までその方らしく、その方が生きたい場所で生きていくということを、私どもは支えさせていただくということです。

店長:まさしく「生ききる」ですね。私たちもずっと生き続けるわけじゃない。どんなふうに自分自身が終わるのか、やはり信頼できる人に看取ってもらいたいと思いますね。

診療・看護の体制

マスター: 24時間診るにはいろいろな体制が整っていないと大変だと思います。

ご家族も24時間頑張っていますので、医者も看護師もみんなチームで支えているということですね。私共がお伺いして、いろんな対処方法をお話ししてこういう時は連絡くださいと伝えると、最初はびっくりして看護師さんを夜中にお呼びになっても次に熱が出たときには落ち着いてお呼びになる。ご家族も介護を勉強していく中で、ひとつひとつ呼び時がわかるようになって、安心できるようになります。それから次に起こることをお話ししておくと、当然予測されたことが起こったんだということで、落ち着いて対応できるようになります。

また、24時間、私一人で対応しているわけではなく、当直医の先生に近くのビジネスホテルで待機していただき、日替わりでご家族の元へ行っていただきます。看護ステーションも24時間順番で、携帯を持っておりますので、一晩頑張った看護師さんは次の日の午前中はお休みとか午後から半分お休みとかという形を担保しながら勤務していただいています。

家族だけで抱え込まない

マスター:先ほど、「認知症の方も含めて、それがいつ終わるかもしれない普通の介護は大変」とおっしゃっていたので、やはりちょっと違う部分があるんだなと思いました。これを聴いている方々も、自分の中でそれを全てやらなきゃいけないという捉え方だけはしていただきたくないですよね。

人一人を支えるのにご家族だけでというのはもの凄く重いので、本当に疲れ果ててしまいます。私どもにご紹介して頂く患者さんの半数は1か月未満にお亡くなりになり、さらにその半数は2週間以内なんですね。その期間を「生ききる」訳ですから、ご家族や周りの方は集中的なエネルギーを注いでいくことができます。それが延々と続くようであれば、ご家族だけでは支えきれないので、周りの方に相談しながら、みんなで手を差し伸べていかなければ、燃え尽きてしまうということは十分あると思います。

(まとめ)生きていく上での支えに

マスター:それが連続して、毎年300~400人もの方々をずっと継続されています。

一例一例の患者さんやご家族から教えを頂いています。この方がこういう人生を生ききったということで、その方の大切になさっている人生のものを私どもにお示し頂いています。もちろんいろんな症例はありますが、やはり振り返ると、宝物を頂いているような、私が生きていく上での支えを頂いているような気がします。

 マスター:こういうドクターが葛飾区にいてくれていることを幸せに思います。

 高木さん:先生はいつでもすぐに話を聞いてくださって、「看護師はどう思うの?」「高木さんはどう思う?」と聞いてくださるんです。一緒に考えて、家族はこう思う、私は、先生はこう思うと、それが喜びになって次に生きる力をくださいます。また先生に会いたい、話したいと毎日繋がっています。

 

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かつしかFM「なかまで介護」

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