かつしかFM(78.9Mhz)から発信する地域包括ケア
「なかまで介護」
毎週(1~3週)木曜日10:00-10:54 放送中!
このサイトでは、ラジオ放送から数週間遅れで、youtube再放送版を公開しております。
なかまで相談室
高齢者総合相談センター青戸 石黒さん
相談事例:お一人暮らしの認知症の方
マスター:最近の相談事例を教えてください。
一人暮らしで認知症の方が増えています。
マスター:ご本人が連絡するというパターンではないと思いますが、どういうふうに繋がってくるのでしょうか?
ご近所だかとか、民生委員さんの方からやはりご心配だということでご連絡がありますね。
マスター:周りの方ですね。ご家族や何かというのはあまり気づかないのでしょうか。
別に住んでいるご家族がいる場合、月に1回来てくださるご家族もいらっしゃいますが、冷蔵庫に同じものばかりあるなぁと思いつつも、ご家族が来るとご本人もしっかりされるので、意外とまだ大丈夫と思っていらっしゃる方が多いようです。
マスター:大きな何かが起きないと、なんとなく大丈夫ってなりますね。
ご本人も、自分はまだできるから大丈夫ってご家族に伝えてしまいますし、そういった中で、例えば、公共料金の未払いなどが発生して、初めてご家族が気づいたり。
マスター:払っていなくて電気とか水道が止まっちゃう人もいますか?
会社によって1か月未納だと止めてしまう場合もあるので、テレビが映らなくなるとか電話が繋がらないとか、そういったことで初めて気づくということもあります。
マスター: そういう時はどういう対応をされているのでしょうか。
まずはご本人のお宅に行ってみます。テレビが映らないじゃなくて電気全てが止まっている事もありますので。そこで公共料金の未払いがわかった場合には、ご本人と一緒にコンビニに行って支払うとか。まずは今困っていることを解決して、その後どうしていくかというのは一緒に考えていきます。
日常生活の不安
店長:今の日常の生活って、全て何か連絡は紙とか、収めるものもそうだし、私ですらそれを全部完璧に処理するのは難しい時もある。どうしていいか分からないとパニック状態っていうのもあるかもしれませんね。
何が届いたかわからないとか、口座にお金がないから引き落としされなくて督促状が来ていても、なんで来ているのかわからない。
マスター:振込詐欺とかオレオレ詐欺とかも、ちらっとテレビで見たりするとなんか怖いというのが出てくるだろうしね。
判断がつかないので、そちらの方で騙されてしまうとか、払わなきゃならないものは払わずに、必要のないことにお金を出してしまうということが起こってしまいます。
離れていても相談を
マスター:これを聞いているご家族の方、離れていても、高齢者総合相談センターというところがあって、そこにかけて(相談すれば)、動いて頂ける。それだけはぜひ覚えていてくださいね。
「もの忘れ予防検診」と「もの忘れ相談会」
マスター: 近々イベントがあると聞きました。
葛飾区医師会で「もの忘れ予防検診」を行っているので、該当している方は受診してください。まず病院に確認してから受診して頂ければと思います。あとは高齢者総合相談センターで「もの忘れ相談会」を毎月行っていますので、申し込んで頂ければと思います。
マスター:認知症を専門にやっていらっしゃるドクターに診て頂けるということですね。
その場で相談ができるので良い機会だと思います。まずは、高齢者総合相談センターの方にご相談いただければと思います。
なかまゲスト
葛飾区医師会 かつしか心身総合クリニック理事長 駒形先生
意思表示の大切さ
マスター:意思表示の大切さというのを先日お聞きしました。
脳卒中や心筋梗塞あるいは交通事故などで病院に搬送される時に、「私は呼吸器はつけません」「胃瘻はしません」と意思表示ができればいいのですが、意識がないとか、うまく表現が出来ない場合があると、望まない医療を実施したり望む医療が実施されなかったりする場合があるということです。家族といえども自分の親の意思表示がどこにあるかを分かっている方は意外と少ないですね。
マスター:私も意外と知らなかったです。
何らかの形で日常的にちょっと話をしておいて頂けると。救急搬送された後、急にそういう話をされても、皆さんパニックになって、できるだけのことをやって欲しいという話をして、結局、意に沿わない医療が行われる場合もあって、ご本人にとっても病院にとっても悲劇を生んでしまいます。
マスター:やっぱり命を助けなくてはと。
救急救命の医療的な措置と延命的な医療的な措置というのは、医療行為としては全く同じ。何が違うかというと、その治療によって、どのくらい寿命が伸びるのかという「期間」と「生活の質がどれぐらい向上できるか」が違うだけです。
マスター:ご本人の気持ちわからないと、そこがミスマッチしてしまう可能性がある。
治療する側にとっても、意思表示があるということは非常にありがたいですね。自分がどういう状況になったらどういう医療と介護を受けたいか、あるいは病院に入って治療したいか、安定したら家に戻って生活したいとか、皆さん考えがそれぞれあるので、あらかじめ話し合いをしておくといざという時のために役立つと思います。
医療に関する同意
マスター:自分のことを控えておくような何かがあるといいですよね。後見人さんの話もよく出るけど、究極に近いような話になってきますよね。判断しづらいというところでね。
日付と内容をメモに書いて、できればサインをしておいて。それはそれで有効ですね。また後見人には成年後見で法的な後見人と、任意後見でまだ自分で意思表示できる間に何かあったらこの人にお願いしますという2つありますが、いずれにしても後見人の方であっても医療に関する同意はできません。
マスター:お金の管理とかその他はやるけど、身辺に関してはできない。
先ほどご出演のケアマネジャーさんも含めて、医療に関する同意はできませんので、もしご本人が目をパチクリするなどして意思表示ができれば、その代理は出来たとしても、それができない状況であれば、それはケアマネジャーでも成年後見人でも、誰も同意はできません。
店長:手術室から出てきて、「それ以上の医療行為をしますか」と家族に問われた場合に、「もう可哀想なので結構です」と言うようなことは問題無いのでしょうか。
ご家族の方がご本人の意思を推測して、そこまでは望まないだろうということであれば、それはそれで有効だと思います。
在宅での看取りと医療
マスター:在宅での看取り介護や医療に長年関わられていらっしゃいます。日頃感じていることなど教えて頂けますか。
昔の入院治療は2、3ヶ月という場合もあったのですが、今は入院した段階で入院治療計画と退院に向けての計画がスタートしますから、それで1ヶ月以内に退院することが多いと思います。退院後に医療的な措置が必要な場合は、それを家族の方たちが実施できるように訓練をする必要が出てくる場合もあります。あるいは脳卒中で麻痺が残った場合はリハビリの病院に移るとか通所デイサービスでやるという事も必要になってくると思います。
マスター:自宅から通うという感じですね。
いずれにせよ病院でずっと診てもらえるというのは今後難しい状況になっていますので、ある程度したところで、お家に帰れるのか、帰りたいのか、帰れるとしたらどういうサービスを提供してもらわないと生活が成り立たないのか、早め早めに手当をしていく必要があるのではないかと思います。
マスター:かかりつけ医に訪問や医療などいろいろなご相談ができるという感じですかね。
かかっていた先生が往診までは行けないという場合であれば、今までの医療情報を含めて新しい訪問医に紹介して頂いて、そこで医療の情報がとぎれないような形で移行して頂ければ問題ないかなと思います。
3つの要素が重要
マスター:在宅で看取るということについて、気持ちや考え方をどう持てばいいでしょうか。
ある程度①ご本人の覚悟というかお家で最期まで生活したいということ、②それを支える医療・介護のサービスが提供されていて、③家族の介護負担が過度に増大しないということを満たさないとなかなか難しいですね。
マスター:この3つがうまくできて、初めて可能という感じになってくるわけですね。
ただ、最期は病院にお願いするでもいいと思います。「絶対に家で」ではなく、一旦病院に入ってそれでまた戻って来ればそれでいいし、戻ってこなければ病院で看取ってもらう。
マスター:プロの意見を聞きながら、できる範囲で家族も協力して、でも無理はしないで、病院に行くなど、それを上手にコーディネートできるような体制ができてきていますよね。
人生の最終段階あるいは急変した段階に命に関わるような状況になった時、医療と介護をどのように結びつけるかということは、その都度その都度いろんな状況に応じて、関わる職種の方全員で、ご本人の意思表示を共有していくということが非常に重要だと思います。
店長: 23区で比べても葛飾区の人口が増えています。葛飾区に住みたい、住み続けたいが87%ですね。これってやっぱり一番大事なのは医療や福祉、環境だと思うんですよ。
マスター:意思表示をする段階を「葛飾方式」として考えてくれたらありがたいですね。
そういうものができると、病院と診療所の中で紹介状を出す時にも「そういう意思表示があります」と提供できますし、ご家族の方も、病院に呼ばれた時に、こう思っていた、ということで意思表示ができれば円滑に医療が進められると思います。
マスター:うちのグループホームは最期の看取りまでということですけど、これがあると大変助かりますね。役に立つ情報を教えて頂き本当に有難うございました。
介護についての悩みやご相談など、なんでも結構です。
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